📋 この記事のポイント
5αリダクターゼI型とII型の違いと分布部位を詳しく解説。AGA治療薬がどちらの型を阻害するのか、オンライン診療での治療の流れや料金プラン、対面診療との使い分けについてもご紹介します。
- ✓ 5αリダクターゼにはI型とII型があり、それぞれ異なる特徴と分布部位を持ちます。
- ✓ I型は全身の皮膚や皮脂腺に広く分布し、II型は毛乳頭細胞や前立腺などに多く存在します。
- ✓ AGA治療薬は、主にII型5αリダクターゼを阻害することで効果を発揮します。
男性型脱毛症(AGA)やニキビの治療を検討する際、「5αリダクターゼ」という酵素の名前を耳にすることがあるかもしれません。この酵素は、男性ホルモンであるテストステロンを、より強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換する役割を担っており、脱毛や皮脂分泌の増加に深く関わっています。
しかし、5αリダクターゼには「I型」と「II型」の2種類が存在し、それぞれ異なる特徴と分布部位を持っています。これらの違いを理解することは、適切な治療法を選択する上で非常に重要です。この記事では、5αリダクターゼI型とII型の違いと、それぞれの分布部位、そしてそれがAGA治療にどう影響するのかについて、専門的な視点から詳しく解説します。
5αリダクターゼとは?その基本的な役割を解説

5αリダクターゼは、体内で重要な役割を果たす酵素の一種です。この酵素の主な働きは、男性ホルモンであるテストステロンを、より活性の高いジヒドロテストステロン(DHT)へと変換することにあります。DHTは、思春期における男性器の発達や体毛の成長など、男性の二次性徴に不可欠なホルモンですが、一方で過剰に生成されると、男性型脱毛症(AGA)や前立腺肥大症、ニキビなどの原因となることが知られています。
当院のオンライン診療では、AGAの初期症状として生え際の後退や頭頂部の薄毛を気にされる患者さまが多くいらっしゃいます。問診では、まずご自身の生活習慣や家族歴、そして過去の治療経験などを詳しく伺い、DHTが関与している可能性を慎重に評価します。
- テストステロン
- 主に精巣で産生される男性ホルモン。筋肉量や骨密度の維持、性欲、気分の調整など、全身の様々な機能に関与しています。
- ジヒドロテストステロン(DHT)
- テストステロンが5αリダクターゼによって変換されて生成される、より強力な男性ホルモン。AGAの主な原因物質として知られています。
このDHTの生成を抑制することが、AGA治療の主要なアプローチの一つとなっています。5αリダクターゼには複数のアイソザイム(同種酵素)が存在し、それぞれが体内の異なる部位で機能しているため、治療薬もこれらを標的として開発されています。
5αリダクターゼI型とII型の違いとは?
5αリダクターゼには、主にI型とII型の2つの主要なアイソザイム(同種酵素)が存在し、それぞれ異なる遺伝子によってコードされています。これらの型は、その構造、酵素活性、および阻害剤に対する感受性において明確な違いがあります[1]。
それぞれの型の特徴と役割
I型5αリダクターゼは、主に皮膚や皮脂腺に多く存在し、全身のテストステロンをDHTに変換する役割を担っています。このI型の働きは、特にニキビや脂性肌の原因となる皮脂の過剰分泌に関与していると考えられています[4]。
一方、II型5αリダクターゼは、主に毛乳頭細胞、前立腺、精巣上体、肝臓などに高濃度で存在します[2]。このII型が毛乳頭細胞でテストステロンをDHTに変換することが、男性型脱毛症(AGA)の直接的な原因とされています。DHTが毛乳頭細胞の受容体と結合することで、毛周期が乱れ、髪の成長期が短縮され、最終的に細く短い毛しか育たなくなってしまうのです。
初診時に「なぜ髪が薄くなるのか」と相談される患者さまも少なくありません。その際、私はこのI型とII型の違いを説明し、特にII型がAGAに深く関わっていることを丁寧に解説するようにしています。
| 項目 | 5αリダクターゼI型 | 5αリダクターゼII型 |
|---|---|---|
| 主な分布部位 | 全身の皮膚、皮脂腺、肝臓など | 毛乳頭細胞、前立腺、精巣上体、肝臓など |
| 関与する主な症状 | ニキビ、脂性肌 | 男性型脱毛症(AGA)、前立腺肥大症 |
| AGA治療薬の主な標的 | (デュタステリドが一部阻害) | フィナステリド、デュタステリド |
それぞれの型は体内のどこに分布しているのか?

5αリダクターゼのI型とII型は、体内の異なる組織や細胞に分布しており、その分布パターンがそれぞれの生理機能や病態への関与を決定しています[3]。
I型5αリダクターゼの分布部位
I型5αリダクターゼは、主に以下の部位に多く分布しています。
- 全身の皮膚:特に顔面、頭皮、胸部、背部など、皮脂腺が豊富な部位に高濃度で存在します[4]。
- 皮脂腺:皮脂の産生に深く関与しており、ニキビや脂性肌の原因となります。
- 肝臓:テストステロン代謝にも関与しています。
- 毛包:特に毛幹部の細胞にも存在します。
この広範な分布から、I型は全身的なホルモンバランスや皮膚の状態に影響を与えることが示唆されます。当院のオンライン診療では、患者さまにご自身の頭皮の写真を複数枚送っていただき、それを基に医師が視診を行います。この際、皮脂の過剰分泌や炎症の兆候がないかを確認し、I型5αリダクターゼの関与も視野に入れて診断を進めます。
II型5αリダクターゼの分布部位
II型5αリダクターゼは、I型とは異なり、より特定の組織に集中して分布しています。
- 毛乳頭細胞:特に前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞に多く存在し、AGA発症の主要な要因となります。
- 前立腺:前立腺肥大症の病態形成に深く関与しています。
- 精巣上体:精子の成熟に関与します。
- 肝臓:I型と同様に肝臓にも分布しますが、その役割はI型とは異なります。
この選択的な分布が、II型5αリダクターゼがAGA治療の主要な標的となる理由です。II型を特異的に阻害することで、AGAの進行を効果的に抑制できると考えられています。
AGA治療薬はどちらの5αリダクターゼを阻害するのか?
AGA治療薬は、この5αリダクターゼの働きを阻害することで、DHTの生成を抑制し、脱毛の進行を食い止めることを目的としています。しかし、薬の種類によって、どちらの型をより強く阻害するかが異なります。
フィナステリドとデュタステリドの作用機序
現在、AGA治療に用いられる主な内服薬には、フィナステリドとデュタステリドがあります。
- フィナステリド:主にII型5αリダクターゼを選択的に阻害します。これにより、毛乳頭細胞におけるDHTの生成が抑制され、AGAの進行が遅延または停止し、発毛が促進されることが期待されます。
- デュタステリド:I型とII型の両方の5αリダクターゼを阻害する作用を持ちます[1]。そのため、フィナステリドよりも広範囲にDHTの生成を抑制し、より高い効果が期待される場合があります。
当院では、患者さまの薄毛の進行度合い、頭皮の状態、過去の治療歴、そして副作用への懸念などを総合的に判断し、フィナステリドまたはデュタステリドのいずれかを提案しています。治療を始めて3ヶ月ほどで「抜け毛が減った」「髪にコシが出てきた」とおっしゃる方が多いです。処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、患者さまが治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。
AGA治療薬は、医師の診察と処方が必須の医薬品です。自己判断での使用は避け、必ず専門医にご相談ください。また、女性や未成年者への使用は原則として禁忌とされています。
オンライン診療でAGA治療を始めるには?

AGA治療は継続が重要であり、忙しい方でも無理なく続けられるよう、当院ではオンライン診療を提供しています。オンライン診療の最大のメリットは、ご自宅や職場から手軽に専門医の診察を受けられる利便性と、プライバシーが守られる安心感です。
自宅で治療を続けられる患者さまからは、「通院の手間が省けて助かる」「待ち時間がなく、仕事の合間に診察を受けられるのが便利」という声をいただいています。
オンライン診療の流れ
- 予約:当院のウェブサイトから、ご希望の日時を選択し、オンライン診療の予約をします。簡単な問診票にご記入いただきます。
- 診察:予約時間になったら、スマートフォンやPCを使って医師とビデオ通話で診察を行います。薄毛の状態や健康状態、治療に関するご希望などを詳しく伺います。必要に応じて、頭皮の写真を送っていただくこともあります。
- 処方:医師が適切な治療薬を判断し、処方します。この際、薬剤の種類や服用方法、起こりうる副作用などについて丁寧に説明します。
- 配送:処方されたお薬は、ご自宅に直接配送されます。プライバシーに配慮し、中身が分からないように梱包してお届けします。
料金プランと定期配送オプション
当院では、患者さまが安心して治療を継続できるよう、複数の料金プランをご用意しています。また、毎月の薬の受け取りを忘れる心配がない定期配送オプションもございます。これにより、治療の中断を防ぎ、安定した効果を維持しやすくなります。詳細な料金については、オンライン診療の予約時にご確認いただけます。
対面診療とオンライン診療、どちらを選ぶべき?
AGA治療を始めるにあたり、オンライン診療と対面診療のどちらを選ぶべきか悩む方もいらっしゃるでしょう。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身のライフスタイルや状況に合わせて選択することが重要です。
それぞれの診療形態のメリット・デメリット
- オンライン診療のメリット:
- 場所を選ばず、自宅や職場から診察を受けられる。
- 移動時間や待ち時間がなく、忙しい方でも継続しやすい。
- プライバシーが守られやすい。
- 定期配送オプションで薬の管理が楽。
- オンライン診療のデメリット:
- 触診や詳細な検査ができない場合がある。
- 通信環境に左右されることがある。
- 対面診療のメリット:
- 医師による直接の触診や詳細な検査が可能。
- より複雑な症例や、他の疾患との鑑別が必要な場合に適している。
- 対面診療のデメリット:
- 通院の手間や待ち時間が発生する。
- プライバシーが気になる場合がある。
オンライン診療では、患者さまの症状が安定している場合や、定期的な処方を希望される場合に特に有効です。しかし、急な症状の変化や、頭皮に炎症などの異常が見られる場合は、対面診療をお勧めすることもあります。当院では、オンライン診療で対応が難しいと判断した場合、適切な医療機関への受診をアドバイスするなど、患者さまにとって最適な選択肢を常に提供できるよう努めています。
まとめ
5αリダクターゼにはI型とII型が存在し、それぞれ異なる分布部位と役割を持っています。I型は全身の皮膚や皮脂腺に広く分布し、ニキビや脂性肌に関与する一方、II型は毛乳頭細胞や前立腺に多く存在し、男性型脱毛症(AGA)や前立腺肥大症の主要な原因となります。
AGA治療薬であるフィナステリドは主にII型を、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害することで、DHTの生成を抑制し、脱毛の進行を抑えます。ご自身の症状やライフスタイルに合わせて、オンライン診療と対面診療を適切に使い分けながら、専門医と相談して最適な治療法を見つけることが重要です。
よくある質問(FAQ)
- Ernesto G Occhiato, Antonio Guarna, Giovanna Danza et al.. Selective non-steroidal inhibitors of 5 alpha-reductase type 1.. The Journal of steroid biochemistry and molecular biology. 2004. PMID: 15026079. DOI: 10.1016/j.jsbmb.2003.10.004
- A E Thigpen, R I Silver, J M Guileyardo et al.. Tissue distribution and ontogeny of steroid 5 alpha-reductase isozyme expression.. The Journal of clinical investigation. 1993. PMID: 7688765. DOI: 10.1172/JCI116665
- D M Berman, D W Russell. Cell-type-specific expression of rat steroid 5 alpha-reductase isozymes.. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 1993. PMID: 8415707. DOI: 10.1073/pnas.90.20.9359
- D Thiboutot, G Harris, V Iles et al.. Activity of the type 1 5 alpha-reductase exhibits regional differences in isolated sebaceous glands and whole skin.. The Journal of investigative dermatology. 1995. PMID: 7636302. DOI: 10.1111/1523-1747.ep12317162
- プロペシア(フィナステリド)添付文書(JAPIC)
- ザガーロ(デュタステリド)添付文書(JAPIC)