📋 この記事のポイント
AGAの最も重要な原因物質は、ジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる男性ホルモンです。DHTは、男性ホルモンであるテストステロンが、5αリダクターゼ(ファイブアルファリダクターゼ)という酵素によって変換されることで生成されます [1]。
- ✓ AGAは男性ホルモンと遺伝が主な原因で、DHTが毛周期を乱すことで進行します。
- ✓ 生活習慣の改善はAGAの進行を緩やかにする可能性がありますが、根本治療には専門的なアプローチが必要です。
- ✓ オンライン診療は、AGA治療をプライバシーに配慮しつつ、手軽に始められる選択肢として注目されています。
AGA(Androgenetic Alopecia、男性型脱毛症)は、多くの男性が悩む進行性の脱毛症です。その原因は複雑で、男性ホルモン、遺伝、生活習慣など様々な要因が絡み合っています。本記事では、AGAがなぜ起こるのか、そのメカニズムから具体的な原因、そして治療法までを専門的な視点から解説します。
AGAの発症メカニズム(DHT・5αリダクターゼ・毛周期)とは?

AGAの発症メカニズムは、主に男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)が深く関与しており、毛周期の乱れを引き起こすことで進行します。
AGAの主な原因は、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、頭皮に存在する「5αリダクターゼ」という酵素によって、より強力な男性ホルモンである「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されることです[1]。このDHTが毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結合すると、毛母細胞の働きが抑制され、毛髪の成長サイクルである「毛周期」に異常をきたします。
正常な毛周期は、成長期(2~6年)、退行期(2~3週間)、休止期(3~4ヶ月)の3つの段階から成り立っています。しかし、DHTの影響を受けると、成長期が短縮され、毛髪が十分に成長する前に退行期・休止期へと移行してしまいます。その結果、細く短い毛髪が増え、最終的には毛髪が抜け落ちて生えなくなるという状態に至ります[1]。当院では、このメカニズムを理解していただくことで、患者さまが治療の必要性を納得し、前向きに取り組めるよう丁寧に説明することを心がけています。
- 5αリダクターゼ
- 男性ホルモンであるテストステロンを、より強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換する酵素です。主にⅠ型とⅡ型があり、AGAの発症にはⅡ型が強く関与しているとされています。
- ジヒドロテストステロン(DHT)
- テストステロンが5αリダクターゼによって変換された、強力な男性ホルモンです。毛乳頭細胞の受容体と結合し、毛周期を乱すことでAGAを引き起こします。
- 毛周期
- 毛髪が生え替わるサイクルで、成長期、退行期、休止期の3つの段階があります。AGAでは成長期が短縮され、細く短い毛髪が増加します。
AGA治療薬はどのように作用するのでしょうか?
AGAの治療薬は、このDHTの生成を阻害することで効果を発揮します。代表的な内服薬には、フィナステリド(プロペシア)とデュタステリド(ザガーロ)があります。
- フィナステリド(プロペシア): 5αリダクターゼのⅡ型を阻害することで、テストステロンからDHTへの変換を抑制します[5]。これにより、毛周期の正常化を促し、脱毛の進行を遅らせる効果が期待できます。
- デュタステリド(ザガーロ): 5αリダクターゼのⅠ型とⅡ型の両方を阻害するため、フィナステリドよりも強力にDHTの生成を抑制するとされています[6]。
これらの薬剤は、脱毛の進行を食い止めるだけでなく、毛髪の太さや密度を改善する効果も報告されています。臨床の現場では、早期に治療を開始した患者さまほど、より良い改善が見られるケースをよく経験します。
AGA治療薬は医師の処方が必要な医薬品です。自己判断での使用は避け、必ず専門医の診察を受けてください。また、女性や未成年者への使用は禁忌とされている薬剤もあります。
AGAの遺伝と家族歴はどのように影響するのでしょうか?
AGAの発症には遺伝的要因が大きく関与しており、家族にAGAの人がいる場合、自身も発症する可能性が高まります。
AGAは「遺伝する」とよく言われますが、これは特定の遺伝子変異がAGAの発症リスクを高めるためです。特に、男性ホルモン受容体の感受性に関わる遺伝子や、5αリダクターゼの活性に関わる遺伝子が注目されています[1]。これらの遺伝的特徴は、両親から受け継がれるため、父親だけでなく母親の家系に薄毛の人がいる場合も、AGAを発症するリスクが高まる可能性があります。
ただし、AGAの遺伝は単純なメンデル遺伝ではなく、複数の遺伝子と環境要因が複雑に絡み合って発症する「多因子遺伝」と考えられています。そのため、「父親が薄毛だから私も必ず薄毛になる」というわけではありませんが、リスクが高いことは認識しておくべきでしょう。当院では、初診時に患者さまの家族歴を詳しくお伺いし、遺伝的背景を考慮した上で治療方針を検討しています。オンライン診療では、ご自身の家族歴を落ち着いて振り返り、医師に相談しやすいというメリットもあります。
AGAの遺伝的要因とは?
AGAの遺伝的要因として最もよく知られているのは、X染色体上にあるアンドロゲン受容体(AR)遺伝子の多型です。この遺伝子は、男性ホルモン受容体の感受性を決定し、DHTが毛乳頭細胞に作用しやすくなるかどうかに関わっています。感受性が高いほど、少量のDHTでも毛周期が乱れやすくなると考えられています[1]。
また、5αリダクターゼの活性に関わる遺伝子もAGAの発症に関与しているとされています。これらの遺伝的要因が組み合わさることで、個人のAGA発症リスクが決定されると考えられています。女性の場合でも、男性型脱毛症と類似した症状を示すことがあり、これは女性型脱毛症(Female Androgenetic Alopecia: FAGA)と呼ばれ、同様に遺伝的要因が関与すると考えられています[3]。
| 項目 | 遺伝的要因 | 非遺伝的要因 |
|---|---|---|
| 主な影響 | DHT感受性、5αリダクターゼ活性 | 生活習慣、ストレス、栄養状態、頭皮環境 |
| 発症リスク | 家族歴がある場合に高まる | 改善によりリスク軽減の可能性 |
| 根本治療 | 内服薬によるホルモン作用抑制 | 生活習慣改善、頭皮ケア |
AGAの進行パターンと分類は?

AGAの進行パターンは個人差がありますが、一般的には特定の部位から脱毛が始まり、徐々に範囲が広がっていく特徴があります。この進行度合いを客観的に評価するために、いくつかの分類法が用いられています。
AGAの進行パターンは、主に「ハミルトン・ノーウッド分類」という国際的に広く用いられている分類法で評価されます。この分類では、生え際(M字型)や頭頂部(O字型)の脱毛の程度をI型からVII型までの段階で示します。初期段階では生え際の後退や頭頂部の薄毛が目立ち始め、進行するにつれて脱毛範囲が広がり、最終的には側頭部や後頭部以外のほとんどの毛髪が失われる可能性があります。
臨床の現場では、患者さまの進行パターンを正確に把握することが、適切な治療計画を立てる上で非常に重要です。例えば、M字型の進行が顕著な方とO字型の進行が顕著な方では、治療薬の選択や期待できる効果に違いが生じることもあります。オンライン診療では、ご自身の頭部の写真を送っていただくことで、医師が客観的に進行度を評価し、適切なアドバイスを提供することが可能です。
ハミルトン・ノーウッド分類とは?
ハミルトン・ノーウッド分類は、AGAの進行度を視覚的に分類する最も一般的な方法です。以下にその概要を示します。
- I型: 脱毛はほとんど見られず、生え際がわずかに後退している程度。
- II型: 生え際がM字型に後退し始める。
- III型: M字型の後退がさらに進み、頭頂部にも薄毛が見られ始める。この段階から治療の検討が推奨されることが多い。
- IV型: M字型の後退と頭頂部の薄毛がさらに顕著になり、両者がつながり始める。
- V型: 脱毛範囲が広がり、M字と頭頂部の薄毛が大きくつながる。
- VI型: 脱毛がさらに進行し、側頭部や後頭部の一部を除いてほとんどの毛髪が失われる。
- VII型: 最も進行した状態で、後頭部や側頭部のわずかな毛髪のみが残る。
この分類は、治療効果の評価や、患者さまへの説明にも役立ちます。早期に自身の進行パターンを把握し、適切な対策を講じることが、AGAの進行を抑制し、改善を期待するためには重要です。
AGAの進行パターンは、時間とともに変化する可能性があります。定期的な診察で進行度を確認し、必要に応じて治療計画を見直すことが大切です。オンライン診療では、定期的なフォローアップも自宅から手軽に受けられるため、継続的な治療がしやすいという利点があります。
AGAの原因となる生活習慣・環境要因とは?
AGAの主な原因は遺伝と男性ホルモンですが、生活習慣や環境要因もその発症や進行に影響を与える可能性があります。
不規則な生活、偏った食生活、過度なストレス、睡眠不足などは、頭皮の血行不良や栄養不足を招き、毛髪の成長に悪影響を与えることが知られています。例えば、喫煙は血管を収縮させ、頭皮への血流を阻害する可能性があります。また、過度な飲酒や脂質の多い食事は、皮脂の過剰分泌を促し、毛穴の詰まりや炎症を引き起こすことで、AGAの進行を加速させるリスクがあると考えられています。臨床の現場では、生活習慣の乱れが顕著な患者さまの場合、治療効果が十分に得られないケースも散見されます。そのため、治療と並行して生活習慣の改善をアドバイスするようにしています。
AGAに影響を与える生活習慣・環境要因
- 食生活の乱れ: 栄養バランスの偏りは、毛髪の成長に必要なビタミンやミネラル、タンパク質の不足を招きます。特に亜鉛やビオチン、鉄分などは毛髪の健康に不可欠です。
- 睡眠不足: 睡眠中に分泌される成長ホルモンは、毛髪の成長にも関与しています。睡眠不足はホルモンバランスを乱し、毛髪の成長を妨げる可能性があります。
- ストレス: 精神的ストレスは自律神経のバランスを崩し、頭皮の血行不良やホルモンバランスの乱れを引き起こすことがあります。
- 喫煙・過度な飲酒: 喫煙は血管を収縮させ、頭皮への栄養供給を阻害します。過度な飲酒は肝臓に負担をかけ、栄養素の代謝に影響を与える可能性があります。
- 頭皮環境の悪化: 不適切なヘアケアや頭皮の炎症、乾燥などは、毛髪の成長を阻害し、脱毛を促進する可能性があります。
これらの要因はAGAの直接的な原因ではありませんが、その進行を早めたり、治療効果を低下させたりする可能性があります。オンライン診療では、問診を通じて患者さまの生活習慣についても詳しくお伺いし、改善点について具体的にアドバイスすることも可能です。自宅で治療を続けられる患者さまからは、「生活習慣を見直すきっかけになった」という声をいただくこともあります。
ただし、生活習慣の改善だけでAGAが完治することは稀であり、根本的な治療には専門的なアプローチが必要です。生活習慣の改善は、あくまで治療効果を高め、健康な毛髪を維持するための補助的な役割と考えるのが適切でしょう。
AGAと他の脱毛症の違いとは?

薄毛や脱毛の症状はAGA以外にも多岐にわたり、それぞれ原因や治療法が異なります。適切な治療を受けるためには、自身の脱毛症がAGAなのか、それとも別の種類の脱毛症なのかを正確に診断することが重要です。
脱毛症には、AGAの他にも円形脱毛症、脂漏性脱毛症、牽引性脱毛症、休止期脱毛症など様々な種類があります。これらの脱毛症は、それぞれ発症のメカニズムや症状の現れ方が異なります。例えば、円形脱毛症は自己免疫疾患が原因とされ、境界がはっきりした円形の脱毛斑が特徴です。脂漏性脱毛症は、過剰な皮脂分泌による頭皮環境の悪化が原因で、フケやかゆみを伴うことが多いです。臨床の現場では、患者さまが自己判断でAGAと決めつけて来院されるケースも少なくありませんが、詳細な問診や視診によって実は別の脱毛症であったということも珍しくありません。正確な診断なく治療を進めても、効果が得られないばかりか、症状を悪化させてしまう可能性もあります。
AGAと他の脱毛症の比較
AGAと他の代表的な脱毛症との違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | AGA(男性型脱毛症) | 円形脱毛症 | 脂漏性脱毛症 |
|---|---|---|---|
| 主な原因 | 遺伝、男性ホルモン(DHT) | 自己免疫疾患 | 皮脂の過剰分泌、マラセチア菌 |
| 症状の特徴 | 生え際・頭頂部の薄毛、軟毛化 | 境界明瞭な円形脱毛斑 | フケ、かゆみ、炎症、全体的な薄毛 |
| 進行性 | 進行性(放置すると悪化) | 突発的、再発の可能性あり | 慢性化しやすい |
| 主な治療法 | 内服薬(フィナステリド、デュタステリド)、外用薬(ミノキシジル) | ステロイド、免疫抑制剤、局所免疫療法 | 抗真菌薬、ステロイド外用薬、生活習慣改善 |
オンライン診療での診断と治療
オンライン診療では、これらの脱毛症を鑑別するために、詳細な問診と視診(写真やビデオ通話による頭皮の状態確認)を行います。患者さまの症状、家族歴、生活習慣などを総合的に判断し、AGAであると診断された場合に、適切な治療薬の処方を行います。もしAGA以外の脱毛症が疑われる場合は、対面での専門医受診を推奨することもあります。
オンライン診療の最大のメリットは、自宅や職場など、好きな場所から気軽に専門医の診察を受けられる点です。これにより、通院にかかる時間や交通費を節約できるだけでなく、薄毛の悩みを他人に知られることなく、プライバシーに配慮した形で治療を開始することができます。特にAGAはデリケートな悩みであるため、このプライバシー保護の側面は多くの患者さまに評価されています。
当院のオンライン診療では、診察から処方、薬の配送までをスムーズに行います。
- 予約: 専用のWebサイトから24時間いつでも予約が可能です。
- 診察: 予約した時間に医師とビデオ通話で診察を行います。問診や頭皮の状態確認を通じて、患者さま一人ひとりに合った治療法を提案します。
- 処方: 医師の判断に基づき、AGA治療薬を処方します。
- 配送: 処方された薬剤は、ご指定の住所へ郵送されます。定期配送オプションもご用意しており、継続的な治療をサポートします。
料金プランについても、患者さまのニーズに合わせて複数の選択肢を提供しています。オンライン診療は、忙しい方や、遠方にお住まいの方にとって、AGA治療を始める上で非常に有効な手段と言えるでしょう。
ただし、オンライン診療は対面診療の全てを代替するものではありません。例えば、詳細な頭皮検査や一部の特殊な治療が必要な場合は、対面診療を推奨することもあります。ご自身の症状や状況に合わせて、オンライン診療と対面診療を適切に使い分けることが重要です。
まとめ
AGAは、遺伝的要因と男性ホルモン(DHT)が主な原因となり、毛周期の乱れによって進行する脱毛症です。5αリダクターゼという酵素がテストステロンをDHTに変換し、このDHTが毛乳頭細胞に作用することで毛髪の成長期が短縮され、細く短い毛髪が増加します。生活習慣の乱れもAGAの進行に影響を与える可能性がありますが、根本的な治療には専門的な医療アプローチが必要です。AGAの進行パターンはハミルトン・ノーウッド分類で評価され、早期の診断と治療開始が重要となります。オンライン診療は、プライバシーに配慮しつつ、自宅から手軽に専門医の診察を受け、適切なAGA治療を開始できる便利な選択肢です。ご自身の脱毛がAGAかどうか、またどのような治療が適切かについては、必ず医師に相談し、適切な診断と治療計画を立てることが大切です。
📱 【スマホで完結】オンライン診療のご案内
「忙しくて病院に行く時間がない」「まずは薬を試してみたい」という方には、オンライン診療がおすすめです。東京オンラインクリニックなら、スマホ一つで診察から処方まで完結。最短即日でお薬をご自宅にお届けします。
オンライン診療を予約するよくある質問(FAQ)
- Francesca Lolli, Francesco Pallotti, Alfredo Rossi et al.. Androgenetic alopecia: a review.. Endocrine. 2018. PMID: 28349362. DOI: 10.1007/s12020-017-1280-y
- Maria Yusuf Dhariwala, Padmini Ravikumar. An overview of herbal alternatives in androgenetic alopecia.. Journal of cosmetic dermatology. 2019. PMID: 30980598. DOI: 10.1111/jocd.12930
- Michela Starace, Gloria Orlando, Aurora Alessandrini et al.. Female Androgenetic Alopecia: An Update on Diagnosis and Management.. American journal of clinical dermatology. 2020. PMID: 31677111. DOI: 10.1007/s40257-019-00479-x
- Yongqiong Deng, Mengxue Wang, Yuxin He et al.. Cellular Senescence: Ageing and Androgenetic Alopecia.. Dermatology (Basel, Switzerland). 2023. PMID: 37088073. DOI: 10.1159/000530681
- プロペシア(フィナステリド)添付文書(JAPIC)
- ザガーロ(デュタステリド)添付文書(JAPIC)