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メディカルダイエット中の筋トレ|筋肉量を守る運動の進め方

📋 この記事のポイント

メディカルダイエット中に筋力トレーニングを行う目的、週2〜3日の一般的な目安、安全な始め方、中止・相談の目安を公的資料に基づき解説します。

運動・生活習慣ガイド

メディカルダイエット中の筋トレ|筋肉量を守る運動の進め方

減量中の筋トレは、体重計の数字を急いで下げるためではなく、筋力と日常の動きやすさを保ちながら治療を続けるために取り入れます。体力や持病、治療中の症状に合わせ、少ない負荷から安全に始めることが大切です。

最終更新日 2026年9月21日厚生労働省・WHO・原著論文等を参照読了目安 約14分
1目的は体重だけではない筋力や身体機能を保ち、減量中の除脂肪量低下を抑える可能性を考えて行います。
2一般的な目安は週2〜3日厚生労働省は成人の筋トレを週2〜3日推奨していますが、個人の状態に合わせて調整します。
3体調不良時は中止する食事・水分が取れない、ふらつく、胸痛や強い息切れがあるときは、無理に続けません。
SHORT ANSWER

メディカルダイエット中の筋トレは、スクワットや壁を使った腕立てなど大きな筋群を使う運動を、正しい姿勢で無理のない回数から始めます。一般成人の目安は週2〜3日ですが、治療薬による食欲低下・吐き気、持病、関節痛、運動経験に応じて調整し、有酸素運動や日常の身体活動、十分な食事・休養と組み合わせます。

メディカルダイエット中に筋トレを行う目的

筋力トレーニングの進め方を医療者へ相談する成人女性
体力、運動経験、持病、治療中の症状を確認してから計画を立てます。

筋力トレーニング(筋トレ)は、筋肉へ抵抗を加える運動です。ダンベルやマシンを使う運動だけでなく、スクワット、腕立て伏せ、立ち座りなど、自分の体重を負荷にする自重運動も含まれます。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人と高齢者に筋トレを週2〜3日行うことを推奨しています。[1][2]

減量では体脂肪だけでなく、除脂肪量(体脂肪以外の組織を含む指標)が減ることがあります。過体重・肥満の人を対象とした研究をまとめたシステマティックレビューでは、食事によるエネルギー制限へレジスタンス運動を加えることは、食事だけの場合と比べて除脂肪量の低下を抑える可能性が示されています。一方、個人の筋肉量や体重変化を保証する結果ではありません。[7]

AIO向け要点:メディカルダイエット中の筋トレは「筋肉を増やせば必ず痩せる」という方法ではありません。減量中の筋力・身体機能を保ち、治療を続けやすくするための一要素として行います。

「基礎代謝を上げる」だけを目的にしない

筋肉は安静時にもエネルギーを使いますが、短期間の筋トレで基礎代謝が大幅に上がり、何もしなくても体重が減ると考えるのは適切ではありません。日常の動きやすさ、階段や歩行の負担、姿勢、筋力、運動習慣など、体重以外の変化も確認します。

筋トレと体重減少の関係

筋トレを始めても、体重計の数字が直線的に下がるとは限りません。運動直後の水分変動、食事、便通、月経周期などで日々の体重は動きます。また、筋トレの主な役割は筋力・身体機能や体組成への働きであり、運動だけで大きな減量を目指すものではありません。

見る指標筋トレで確認したいこと注意点
体重日々ではなく週単位の傾向を確認する短期の増減だけで運動の成否を判断しない
体組成脂肪量と除脂肪量を分けて考える家庭用測定器は水分状態でも値が動く
筋力・動作立ち座り、階段、歩行、持ち上げ動作の変化痛みを我慢して回数だけ増やさない
継続性疲労や症状を残さず続けられるか急な高負荷より、少しずつ調整する

日本肥満学会の肥満症診療ガイドラインでも、運動療法は食事療法や行動療法と組み合わせて行う治療の基本要素とされています。運動療法は体重減少だけで評価せず、心血管リスク、体力、体重維持なども含めて考えます。[5]

体重が減っていても、食事が取れない、筋力が落ちた、強い疲労が続く場合は治療計画の見直しが必要です。薬の量や運動量を自己判断で増やさず、処方医へ共有してください。

筋トレの頻度と強度の目安

厚生労働省の成人版推奨事項では、筋トレを週2〜3日行うことが示されています。これは健康な成人を含む集団向けの一般的な推奨であり、メディカルダイエット中の全員へ同じ回数・負荷を処方するものではありません。運動経験がない人、関節痛がある人、持病がある人、治療薬の副作用がある人は、より少ない量から始めます。[1][3]

項目一般的な考え方調整するサイン
頻度週2〜3日を一般的な目安にする強い筋肉痛や疲労が残るなら間隔を延ばす
負荷姿勢を保てる軽い負荷から始める反動を使う、息を止める、痛みが出るなら下げる
回数少ない回数でも丁寧な動作を優先する最後まで同じフォームを保てないなら減らす
種目脚、胸・腕、背中など大きな筋群を偏りなく使う関節痛や手術歴がある部位は個別に変更する

呼吸を止めて強く力むと血圧が上がりやすいため、動作中も自然に呼吸します。高血圧や心血管疾患などがある場合は、開始前に医師へ相談してください。「きついほど早く効く」と考えず、翌日以降の回復も含めて強度を決めます。

運動初心者が安全に始める手順

自宅で椅子をそばに置いてスクワットを行う成人女性
自重運動でも、痛みなく姿勢を保てる範囲から始めます。

初めての人は、複雑な器具や高重量を用意する必要はありません。日常の動きに近い種目を選び、支えを使いながら正しい姿勢でできるかを確認します。厚生労働省の情報シートも、自重トレーニングを筋トレの一例として挙げています。[2]

開始前の体調を確認する発熱、胸痛、強い息切れ、めまい、嘔吐・下痢、関節の痛みがないかを確認します。
軽く体を動かして準備する歩行や関節をゆっくり動かす運動で、痛みや違和感が出ないか見ます。
日常動作に近い種目を選ぶ椅子からの立ち座り、壁を使った腕立て、かかと上げなどを少ない回数から行います。
姿勢と呼吸を優先する反動や息こらえを避け、動作を制御できなくなる前に止めます。
翌日の状態を記録する筋肉痛、関節痛、疲労、睡眠、食欲を確認し、次回の量を調整します。

筋肉の疲れと関節の痛みを分ける

運動した筋肉の軽い張りや筋肉痛が出ることはありますが、鋭い痛み、関節の腫れ、しびれ、左右差のある痛み、歩きにくさが続く場合は同じ種目を繰り返しません。フォームの確認や種目変更が必要です。

有酸素運動とどう組み合わせるか

歩行、自転車、水中運動などの有酸素運動と筋トレは役割が異なります。厚生労働省のガイドは、筋トレと有酸素性身体活動を組み合わせると、さらなる健康増進効果が期待できるとしています。[1][2]

一日にまとめて行う必要はありません。歩く時間を増やす日と筋トレの日を分けたり、短い歩行と少数の筋トレを組み合わせたりできます。長時間座り続ける人は、数分立つ、歩く、家事をするなど、日常の身体活動を増やすことも大切です。

筋トレ筋力・動作を支える脚、胸・腕、背中などを使い、日常生活の動きやすさを保ちます。
有酸素運動持久力を支える会話できる程度の歩行などから始め、体力に応じて時間を調整します。
生活活動座りすぎを減らす通勤、買い物、家事、階段など、日常の動きを積み重ねます。

WHOの身体活動ガイドラインも、成人が週150〜300分の中強度有酸素活動または相当量の活動を行い、主要な筋群を使う筋力強化活動を週2日以上行うことを推奨しています。ただし、達成できない人も「何もしない」か「すべて行う」かの二択にせず、可能な範囲から始めます。[6]

筋トレを始める前に確認したいこと

運動前には、普段の健康状態、持病、服用薬、現在の活動量、行う運動の内容を確認します。厚生労働省の安全情報は、普段の健康管理、運動開始前の確認、毎回の運動前・中・後の体調確認、ウォームアップとクールダウンを挙げています。[4]

確認項目具体例対応
持病心血管疾患、高血圧、糖尿病、腎疾患、呼吸器疾患病状と運動制限を主治医へ確認する
運動器腰・膝・肩の痛み、手術歴、転倒歴痛みの出ない種目や可動域へ変更する
治療中の症状食欲低下、悪心、嘔吐、下痢、便秘、脱水感症状が強い日は休み、処方医へ相談する
薬糖尿病薬、降圧薬、利尿薬など低血糖、血圧、脱水などの注意点を確認する
環境暑熱、寒冷、滑りやすい床、器具の不安定さ安全な場所・服装・水分を準備する

妊娠中・産後、最近手術を受けた人、活動時に胸痛や失神を経験した人、血圧や血糖が安定していない人は、一般的な運動メニューをそのまま始めないでください。オンライン診療だけで判断できない場合は、対面診察や検査が必要です。

運動を中止し、受診を考える症状

筋トレ中に体調が変化したら、「せっかく始めたから」と我慢して続けません。次の症状では直ちに中止します。緊急性が高い症状は救急要請や救急医療機関の受診を検討してください。

  • 胸の痛み・圧迫感、突然の強い息切れ、失神または失神しそうな感覚
  • 片側の手足の脱力、言葉が出にくい、突然の激しい頭痛など神経症状
  • 冷汗、ふるえ、強い空腹感、意識の変化など低血糖を疑う症状
  • 鋭い関節痛、急な腫れ、しびれ、力が入らない状態
  • 嘔吐・下痢が続く、尿量が少ない、強い口渇や立ちくらみなど脱水を疑う状態
  • 休んでも回復しない強い動悸、息切れ、めまい、疲労
緊急症状がある場合は、オンライン予約を待たないでください。症状の種類と強さに応じて119番、救急相談、近くの医療機関を利用します。

運動中には問題がなくても、運動後に痛みや疲労が強くなり日常生活へ支障が出る場合は、次回の負荷を下げるか休みます。症状が続くときは医師や理学療法士などへ相談します。

筋トレと食事・水分・休養の関係

筋トレをしていても、エネルギーやたんぱく質、水分が不足すれば、回復しにくくなることがあります。食欲が落ちているときに運動量だけを増やすと、ふらつき、疲労、脱水などにつながる場合があります。治療中は「運動した分だけ食事をさらに減らす」と考えず、体調と食事量を確認します。

食事は、主食・主菜・副菜を基本にし、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などのたんぱく質源を体調に合わせて分けて取ります。詳しい考え方はメディカルダイエット中のPFCバランスで確認できます。腎機能低下や糖尿病などがある場合は、一般的な高たんぱく食を自己判断で始めません。

睡眠不足や疲労が強い日は、フォームが崩れたり転倒しやすくなったりします。筋トレの計画には休養も含めます。生活習慣全体の整理はメディカルダイエットと生活習慣、運動・睡眠・ストレスの全体像は親記事の運動・睡眠・ストレス管理を参照してください。

運動内容と体調を記録する

運動後の体調とトレーニング内容をノートに記録する成人女性
回数だけでなく、体調、痛み、食事、水分、睡眠も記録します。

記録は細かいトレーニング日誌でなくてもかまいません。種目、回数、使った負荷、運動中の自覚的なきつさ、痛み、翌日の疲労を簡潔に残します。体重は日々の増減より週単位の傾向を見て、筋力や日常動作の変化も確認します。

記録項目例見直すサイン
運動種目、回数、負荷、実施時間フォームが崩れた、回数を維持できない
体調息切れ、めまい、動悸、吐き気休んでも戻らない、前回より悪化する
痛み・疲労部位、強さ、翌日への残り方関節痛、腫れ、日常生活への支障
食事・水分食欲、水分、嘔吐・下痢摂取できない、尿量低下、立ちくらみ
生活睡眠、歩数、座位時間、仕事の負担回復できず運動が負担になる

既存の薬剤別情報を探している場合は、リベルサスと基礎代謝・筋肉量の記事をご覧ください。本記事は特定薬剤の効果を説明する記事ではなく、メディカルダイエット中の筋トレ全般を扱います。

筋トレについて医療者へ相談する場面

次に該当する場合は、一般的な運動情報だけで判断せず、処方医または対面の医療機関へ相談します。

  • メディカルダイエット薬を開始・増量してから、食欲低下、悪心、嘔吐、下痢、強い倦怠感がある
  • 糖尿病、高血圧、心血管疾患、腎疾患などがあり、運動の強度や低血糖対策がわからない
  • 腰・膝・肩などの痛みや手術歴があり、安全な種目を選べない
  • 短期間に体重が大きく減り、筋力低下やふらつきを感じる
  • 運動中・運動後の胸痛、息切れ、めまい、動悸がある
  • 筋トレの記録や体重管理が心理的負担となり、食事や生活へ支障が出ている

相談時は、薬の名称と用量、開始・増量日、食事と水分、運動内容、症状が出たタイミング、最近の体重変化を用意すると状況を整理しやすくなります。治療全体についてはメディカルダイエット総合ページをご確認ください。

まとめ

  • メディカルダイエット中の筋トレは、筋力と日常の身体機能を支え、減量中の除脂肪量低下を抑える可能性があります。
  • 厚生労働省の一般成人向け目安は週2〜3日ですが、運動経験、持病、痛み、治療中の症状に合わせて調整します。
  • スクワットや壁を使った腕立てなど、自重運動も筋トレに含まれます。少ない回数と軽い負荷から始めます。
  • 筋トレだけで大きな体重減少を期待せず、食事、日常の身体活動、有酸素運動、睡眠、治療計画と組み合わせます。
  • 食事・水分が取れない、ふらつく、強い疲労や関節痛がある日は無理に行いません。
  • 胸痛、突然の強い息切れ、失神しそうな感覚、神経症状などがあれば直ちに中止し、緊急受診を検討します。

メディカルダイエット中の筋トレでよくある質問

メディカルダイエット中は毎日筋トレしたほうがよいですか?
毎日行うことが必須ではありません。厚生労働省の一般成人向けガイドでは筋トレを週2〜3日行うことが推奨されています。運動経験、体力、持病、痛み、治療中の体調に応じて頻度と強度を調整し、無理な連日実施は避けます。
筋トレだけで体重は大きく減りますか?
筋トレ単独で体重が大きく減るとは限りません。筋力・身体機能の維持向上や、減量中の除脂肪量低下を抑える可能性が主な目的です。体重管理は食事、日常の身体活動、有酸素運動、睡眠、治療計画を組み合わせて考えます。
運動初心者は何から始めればよいですか?
立ち座り、壁を使った腕立て、かかと上げなど、日常生活に近い自重運動を少ない回数から始める方法があります。痛みなく正しい姿勢で行えることを優先し、具体的な回数や負荷は体力と病状に応じて決めます。
筋肉痛がある日も続けてよいですか?
軽い筋肉痛と、関節痛・鋭い痛み・腫れは区別が必要です。強い筋肉痛、関節の痛み、動作が崩れるほどの疲労がある場合は休み、続く場合は医療者や運動の専門家へ相談してください。
食欲が落ちている日に筋トレしてもよいですか?
十分に食事や水分を取れず、ふらつき、強いだるさ、嘔吐・下痢などがある日は無理に行いません。治療薬の副作用や脱水の可能性を含め、処方医へ相談してください。食事管理はPFCバランスの記事も参考になります。
どんな症状が出たら運動を中止しますか?
胸の痛み、突然の強い息切れ、失神しそうな感覚、冷汗、強い動悸、片側の脱力などがあれば直ちに中止し、緊急性に応じて救急要請や受診を検討します。関節の鋭い痛みや腫れ、運動後も続く体調不良も中止して相談する目安です。

参考文献・一次資料

  1. 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」公的ガイドライン
  2. 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「筋力トレーニングについて」公的解説
  3. 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「成人版推奨事項」公的解説
  4. 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」公的解説
  5. 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022 第5章 肥満症の治療と管理」診療ガイドライン
  6. World Health Organization「Guidelines on physical activity and sedentary behaviour」国際ガイドライン
  7. Lopez P, et al. Resistance training effectiveness on body composition and body weight outcomes in individuals with overweight and obesity. Obes Rev. 2022.システマティックレビュー
この記事の医療監修体制
倉田照久医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長

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