アカルボースの効果・副作用 – 東京オンラインクリニック

アカルボースの効果・副作用

薬名: アカルボース
読了時間: 約1分

アカルボースとは?

アカルボース(Acarbose)は、α-グルコシダーゼ阻害薬に分類される糖尿病治療薬で、主に食後の血糖値上昇を抑える目的で使用されます。炭水化物の消化・吸収を遅らせることで、血糖値の急上昇を防ぎ、糖尿病患者の血糖コントロールを助けます。また、近年ではダイエット目的での使用も注目されており、肥満治療の一環として処方されるケースも増えています。

アカルボースの効果

  • 食後の血糖値上昇を抑制
  • インスリンの負担を軽減し、糖尿病の進行を抑制
  • 糖質の消化吸収を遅らせ、肥満予防に効果的
  • 血糖スパイクを防ぎ、糖尿病合併症のリスクを低減

アカルボースは、小腸に存在するα-グルコシダーゼという酵素の働きを阻害し、食事で摂取した炭水化物の分解を遅らせます。その結果、ブドウ糖への変換が遅くなり、血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。

効果発現までの時間と持続時間

  • 服用後30分〜1時間で作用を発揮し、食後の血糖値上昇を抑制します。
  • 持続時間は3〜6時間程度で、毎食時に服用することで1日を通して血糖値を安定させることができます。

アカルボースの用法・用量

  • 通常、1回50mg〜100mgを食事直前に服用します。
  • 1日3回、毎食直前に服用することで最大の効果を発揮します。
  • 水なしで噛み砕いて服用することで、消化管内でより効果的に作用します。

※食後に服用すると効果が十分に得られないため、必ず食事の直前に服用してください。

臨床成績

単独療法(国内プラセボ対照二重盲検比較試験)

(1) インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)患者を対象に、アカルボース1回100mgまたはプラセボを1日3回、8週間投与した試験で、有用性が認められました。

投与群症例数有用以上の割合
アカルボース 100mg8538.8%(33/85)
プラセボ8713.8%(12/87)

統計学的有意差:p<0.001

(2) NIDDM患者を対象に、アカルボース1回100mgまたはプラセボを1日3回、24~28週間投与した試験で、有用性が確認されました。

投与群症例数有用以上の割合
アカルボース 100mg1758.8%(10/17)
プラセボ1520.0%(3/15)

統計学的有意差:p<0.05

併用療法(国内一般臨床試験)

(1) SU剤との併用試験(短期試験)

NIDDM患者を対象に、アカルボース1回50mg~100mgを1日3回、12週間投与した結果、食後血糖の改善が認められました。

試験投与例数中等度改善以上の割合副作用発現率主な副作用
試験①5532.7%(18/55)20.0%(14/70)放屁の増加(11件)、腹部膨満感(9件)、下痢(1件)
試験②10338.8%(40/103)20.5%(25/122)放屁の増加(19件)、腹部膨満感(14件)、軟便(2件)

(2) SU剤との併用試験(長期投与試験)

NIDDM患者を対象に、アカルボース1回50mg~100mgを1日3回、28週間以上投与した結果、治療期終了時において、食後血糖の安定したコントロールが確認されました。

投与群症例数中等度改善以上の割合副作用発現率主な副作用
アカルボース(長期)8037.5%(30/80)18.6%(16/86)放屁の増加(13件)、腹部膨満感(6件)

(3) インスリン製剤との併用試験(短期試験)

インスリン製剤投与中のNIDDM患者およびインスリン依存型糖尿病(IDDM)患者を対象に、アカルボース1回50mg~100mgを1日3回、12週間投与した試験で、有用性が確認されました。

投与群症例数中等度改善以上の割合副作用発現率主な副作用
アカルボース(短期)8148.1%(39/81)18.4%(21/114)放屁の増加(12件)、腹部膨満感(11件)

(4) インスリン製剤との併用試験(長期投与試験)

インスリン製剤投与中のNIDDM患者およびIDDM患者を対象に、アカルボース1回50mg~100mgを1日3回、28週間以上投与した試験で、治療期終了時において安定した血糖コントロールが確認されました。

投与群症例数中等度改善以上の割合副作用発現率主な副作用
アカルボース(長期)3751.4%(19/37)21.2%(11/52)放屁の増加(5件)、腹部膨満感(5件)

使用時の注意点

  • 食後に服用しても効果が十分に得られません。食事のタイミングを守ることが重要です。
  • アカルボース単独では低血糖を起こしにくいですが、インスリン製剤やスルホニル尿素薬(SU薬)と併用する場合、低血糖のリスクが高まるため注意が必要です。
  • 消化管での糖質の分解が遅れるため、おならが増える、腹部膨満感、軟便が起こることがあります。これらの副作用は、食事内容を工夫することで軽減できます。
  • まれに肝機能障害が報告されているため、定期的な血液検査が推奨されます。

副作用

アカルボースは比較的安全性の高い薬ですが、以下の副作用が報告されています。

  • 腹部膨満感・放屁(おならが増える)
  • 軟便・下痢
  • 肝機能異常(まれ)

これらの副作用は、過剰な糖質摂取によって悪化することがあるため、食事管理も重要です。

他の糖尿病・ダイエット薬との比較

薬剤名主な効果低血糖リスク主な副作用投与頻度
アカルボース食後血糖値の上昇抑制低い腹部膨満感・放屁1日3回(食直前)
メトホルミンインスリン抵抗性改善低い胃腸障害・下痢1日1〜2回
SGLT2阻害薬(ジャディアンスなど)尿からの糖排出促進低い頻尿・脱水リスク1日1回
GLP-1受容体作動薬(オゼンピックなど)食欲抑制・血糖コントロール低い吐き気・便秘週1回注射
オルリスタット(ゼニカル脂肪の吸収抑制なし油分の多い便1日3回(食直前)

比較ポイント

  • アカルボースは主に炭水化物の消化を遅らせるため、食後高血糖の抑制に優れる
  • SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬と異なり、体重減少効果は限定的
  • メトホルミンと併用することで、より安定した血糖コントロールが可能

まとめ

  • 食後血糖値の上昇を抑える効果がある
  • 低血糖のリスクが低く、安全性が高い
  • 炭水化物の消化を遅らせるため、ダイエット効果も期待できる
  • 腹部膨満感やおならが増える副作用に注意
  • 食事のタイミングに合わせた服用が重要

アカルボースは、糖尿病治療だけでなく、肥満治療にも活用されており、血糖値コントロールを目的とする方に適した薬です。

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