アラミストの効果・副作用 – 東京オンラインクリニック

アラミストの効果・副作用

薬名: アラミスト
読了時間: 約1分

アラミスト(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)とは?

アラミスト(一般名:フルチカゾンフランカルボン酸エステル)は、ステロイド系抗炎症薬に分類される点鼻薬で、主にアレルギー性鼻炎の治療に使用されます。
炎症を抑える効果が高く、長時間作用することが特徴であり、鼻詰まり・くしゃみ・鼻水などの症状を改善することができます。

1日1回の使用で24時間効果が持続するため、花粉症や通年性アレルギー性鼻炎の治療において有用な選択肢となります。

アラミストの効果・効能

アラミストは、以下の症状を改善する効果があります。

  • 季節性アレルギー性鼻炎(花粉症など)
  • 通年性アレルギー性鼻炎(ハウスダスト・ダニなど)

フルチカゾンフランカルボン酸エステルは、ステロイドの一種であり、アレルギー反応の炎症を抑制することで、鼻づまり、くしゃみ、鼻水、鼻のムズムズ感などの症状を改善します。

特に、鼻づまりに対する効果が高いため、他の抗ヒスタミン薬で効果が不十分な場合にも推奨される治療薬です。

アラミストの使用方法

  1. 1日1回、両鼻に噴霧通常は1回に1噴霧(27.5μg)ずつ両鼻に投与必要に応じて1回2噴霧(最大55μg)に増量可能(医師の指示に従う)
  2. 使用前にボトルをよく振るステロイド成分が均一に分散するようにするため、使用前には軽く振る。
  3. 鼻を軽くかみ、噴霧後はすぐに鼻をかまない鼻の通りをよくしてから使用し、噴霧後は薬剤が鼻粘膜にとどまるように数分間は鼻をかまない。
  4. 定期的に使用することが重要効果が現れるまで数日かかることがあるため、症状が出ていない日でも毎日継続して使用することが推奨される。

アラミストの副作用

主な副作用

アラミストは、全身作用が少なく副作用が少ないステロイド点鼻薬ですが、以下のような副作用が報告されています。

  • 鼻の乾燥感
  • 鼻血(鼻粘膜の刺激によるもの)
  • 頭痛
  • 咽喉刺激感(喉の違和感)

重大な副作用

稀ではありますが、以下の副作用が報告されています。

  • 鼻中隔穿孔(鼻の仕切り部分の穴あき)
  • 副腎機能抑制(長期使用によるホルモンバランスの変化)
  • 眼圧上昇・白内障(長期使用時に注意)

アラミストの使用上の注意

  • 即効性はないため、毎日継続して使用すること が重要です。(数日間使用を続けることで最大の効果を発揮します。)
  • 使用後はうがいや鼻をすすぐことで、副作用を軽減できます。
  • 鼻血が頻繁に出る場合 は、ノズルを鼻の外側に向けて噴霧すると鼻粘膜への刺激を抑えられます。
  • 緑内障・白内障がある方 は、長期使用による眼圧上昇のリスクがあるため、事前に眼科医に相談することをおすすめします。
  • ステロイド剤のため、医師の指示に従い、長期使用は自己判断で中止しないようにしましょう。

臨床成績

国内第Ⅱ相試験(成人)

試験デザイン:

  • 通年性アレルギー性鼻炎患者を対象
  • 本剤110μg/日、220μg/日、またはプラセボを1日1回、2週間投与
  • くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉の3鼻症状スコア(0~9点) の平均変化量を評価
投与群症例数ベースライン(平均値±SD)2週間後(平均値±SD)変化量(調整済み平均値±SE)プラセボとの差
本剤110μg806.3±1.174.3±1.48-1.95±0.163-0.79(p<0.001)
本剤220μg815.8±0.963.9±1.47-2.14±0.160-0.98(p<0.001)
プラセボ796.5±1.075.2±1.50-1.16±0.165

副作用発現率:

  • 本剤110μg群:8%(6/80例)
  • 主な副作用:血中コルチゾール減少(3%、2/80例)

海外第Ⅱ相試験(成人)

試験デザイン:

  • 季節性アレルギー性鼻炎患者を対象
  • 本剤55μg、110μg、220μg、440μg/日、またはプラセボを1日1回、2週間投与
  • *4鼻症状(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉、鼻内そう痒感)*の合計スコアを評価
投与群主要評価項目
本剤 110μg4鼻症状スコアの有意な減少を示した
本剤 220μg同様に有意な症状改善
本剤 440μg高用量でさらに効果が確認された
プラセボ変化は少ない

副作用発現率:

  • 本剤110μg群:11%(14/127例)
  • 主な副作用:鼻出血(7%)、鼻漏・鼻中隔潰瘍・頭痛(各2%)

国内第Ⅲ相試験(成人)

試験デザイン:

  • 季節性アレルギー性鼻炎患者を対象
  • 本剤110μg/日、フルチカゾンプロピオン酸エステル(FP)200μg/日(1日2回)、またはプラセボを2週間投与
  • 3鼻症状合計スコアの変化量を評価
  • 効果発現までの日数も比較
投与群症例数ベースライン(平均値±SD)2週間後(平均値±SD)変化量(調整済み平均値±SE)効果発現までの日数
本剤110μg1475.8±1.334.4±1.73-1.23±0.1401日
FP 200μg1445.9±1.434.6±1.55-1.06±0.1422日
プラセボ705.9±1.286.1±1.62+0.42±0.201

結論:

  • アラミスト(110μg/日)はFPと同等の効果を持つ
  • 効果発現が早く、1日で有意な改善を示した
  • 非劣性が検証され、FPと同様の治療効果が確認

副作用発現率:

  • 本剤110μg群:6%(9/149例)
  • 主な副作用:白血球数増加(1%、2/149例)

国内第Ⅲ相試験(小児)

試験デザイン:

  • 6歳以上15歳未満の通年性アレルギー性鼻炎患者を対象
  • 本剤55μg/日またはプラセボを1日1回、2週間投与
  • 3鼻症状合計スコアの変化量 を評価
投与群症例数ベースライン(平均値±SD)2週間後(平均値±SD)変化量(調整済み平均値±SE)群間差(両側95%信頼区間)
本剤55μg1315.0±0.943.1±1.53-1.98±0.12-1.089(p<0.001)
プラセボ1305.2±1.064.2±1.55-0.89±0.12

結論:

  • 本剤はプラセボと比較して優れた症状軽減効果を示した
  • 小児でも安全に使用可能

副作用発現率:

  • 本剤55μg群:1%未満(1/131例)
  • 主な副作用:鼻部不快感(1例)

視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA)機能への影響

  • 通年性アレルギー性鼻炎患者に本剤110μgを1日1回6週間投与
  • HPA系への影響は認められなかった

成長への影響(海外第Ⅲ/Ⅳ相試験、小児)

  • 6~15歳の通年性アレルギー性鼻炎患者に1年間投与
  • 成長速度の変化量:
投与群成長速度変化量(cm/年)
本剤110μg-0.534
プラセボ-0.287
群間差(95%信頼区間)-0.270(-0.48, -0.06)

→ 成長への影響は軽微であり、臨床的に問題のない範囲と判断

よくある質問

アラミストは花粉症シーズンだけ使うべきですか?

アラミストは症状が現れる前から使用を開始すると効果が高まるため、花粉の飛散が始まる2週間前からの使用が推奨されています。

他の点鼻薬と併用できますか?

はい。抗ヒスタミン点鼻薬(ナゾネックスなど)と併用することで、くしゃみや鼻水を抑えつつ、鼻詰まりを改善する相乗効果が期待できます。

長期間使っても大丈夫ですか?

はい。アラミストは鼻粘膜に局所的に作用し、全身への影響が少ないステロイド薬です。
ただし、1年以上の継続使用は医師の指導のもとで行うのが望ましいです。

妊娠中・授乳中でも使用できますか?

妊娠中・授乳中の安全性は確立されていませんが、必要性がある場合は医師と相談のうえ慎重に使用してください。

まとめ

  • アラミストは1日1回の点鼻で24時間持続するステロイド点鼻薬
  • アレルギー性鼻炎(花粉症・通年性)の鼻づまり・鼻水・くしゃみに高い効果
  • 即効性はないが、継続使用で最大の効果を発揮
  • 副作用は鼻の乾燥や軽度の鼻血が主で、全身作用は少ない
  • 長期間使用も可能だが、医師の指示のもとで管理することが推奨される

アラミストは、アレルギー性鼻炎の治療において高い有効性と安全性が確認されている薬剤です。適切に使用することで、生活の質(QOL)を向上させることができます。

参考文献

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花粉症治療

保険適用の花粉症・アレルギー性鼻炎の治療。

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