フリウェル配合錠とは
フリウェル配合錠は低用量ピルの一種で、ルナベルのジェネリック医薬品です。主に月経困難症の治療に使用されます。
当院ではフリウェル配合錠ULDを保険診療で取り扱っています。
フリウェル配合錠LDとULDの違い
フリウェル配合錠は卵胞ホルモンの含有量の違いによって「フリウェル配合錠LD」と「フリウェル配合錠ULD」の2種類に分けられます。
LDとULDはそれぞれ「Low Dose」と「Ultra Low Dose」の略で、ULDのほうが卵胞ホルモンの量が少なくなっており、悪心や頭痛などの副作用が少なくなっています。
フリウェル配合錠ULDは新しく登場した薬で、「超低用量ピル」に分類されます。
参考までに含有量の違いは下記の表のとおりです。
名称 | 卵胞ホルモンの含有量 | |
---|---|---|
フリウェル配合錠LD | 0.035mg(1錠中) | |
フリウェル配合錠ULD | 0.02mg(1錠中) |
※フリウェル配合錠LD/フリウェル配合錠ULD 添付文書から引用
基本情報
対象疾患・症状
フリウェル配合錠は子宮内膜症や月経困難症に使用されます。生理の症状が重たい場合や、生理痛がひどい場合に処方されることが多いです。
何世代のピルか
フリウェルはノルエチステロンというプロゲステロンが使用されており、第一世代のピルです。出血量が減りやすく、月経困難症のコントロールに優れているのが特徴です。
先発品
フリウェルの先発品としてルナベルがあります。当院でもルナベルの取り扱いがございます。
効果・効能
フリウェルには、排卵を抑え、子宮内膜が厚くならないようにする効果があります。具体的には、子宮内膜が厚くなるのを防ぐことで、子宮内膜で産生される痛みの原因となる物質「プロスタグランジン」を減少させ、月経困難症による痛みなどの症状を緩和します。
プロスタグランジンは、生理中に子宮を収縮させ、剥がれ落ちた子宮内膜を体外に押し出す役割があります。しかし、プロスタグランジンが過剰に分泌されると、子宮が過度に収縮し、痛みが強くなります。
また、生殖補助医療においては、フリウェルを一定期間服用した後に中止することで子宮内膜を剥落させ(生理を誘発し)、調節卵巣刺激の開始時期を調整します。
フリウェル配合錠の服用方法
フリウェルは「21錠シート」です。21日間を毎日一定の時間に1錠ずつ経口投与し、その後7日間休薬期間を取ってください。このサイクルを繰り返します。
用法・用量に関する注意点
- 毎日一定の時間に服用するようにしてください
- 7日間の休薬期間はしっかりお取りください
- 初めて服用する場合は原則として月経1〜5日目に服用を開始してください
フリウェル配合錠の副作用
主な副作用
不正性器出血、希発月経、頭痛、悪心、月経過多(少)、頻発月経、乳房不快感、下腹部痛が見られることがあります。
重大な副作用
- 血栓症
下肢の急激な疼痛・腫脹、息切れ、胸痛、頭痛、四肢の脱力や麻痺、構語障害、視力障害などが見られた場合は直ちに投与を中止し、医師の診察を受けてください。 - アナフィラキシー
呼吸困難や蕁麻疹、血管浮腫、そう痒感などが見られた場合は投与を中止して適切な処置を行ってください。
服用に際して注意すべきこと
- フリウェル配合錠LD・ULDは避妊目的のピルよりもエストロゲンが少ないため、避妊目的には使用できません。月経困難症の治療に用いるという点に注意してください。
- 問診や内診、基礎体温の測定などを通して妊娠していないことを十分に確認してください。
- 服用中に嘔吐や下痢が続いている場合、本剤の吸収不良を引き起こし妊娠の可能性が高くなるため注意してください。
- 年齢や喫煙量によっては重篤な副作用の危険性が増大するという報告があるため、問診等で正確な情報を医師にお伝えください。
- フリウェルに限りませんが、ピルの飲み始めには不正出血が見られることがあります。出血量や期間によっては別の病気の可能性もあるため、医師に相談するようにしてください。
フリウェルの臨床成績
〈月経困難症、ノルエチステロン1mg及びエチニルエストラジオール0.02mg配合製剤(以下、ULD配合製剤)〉
17.1.4 国内第III相試験
月経困難症患者(ULD配合製剤群:17~50歳、平均32.4歳、プラセボ群:20~48歳、平均30.4歳)を対象とした4周期投与のプラセボ対照比較試験において、ULD配合製剤は月経困難症スコア合計の変化量でプラセボに対して有意差(2標本t検定:p<0.001)が認められた。
投与前 (-1周期) | 最終観察周期 (4周期投与後又は中止時) | |
---|---|---|
本剤 | 4.1±1.00(n=105) | 1.8±1.57(n=105) |
プラセボ | 4.2±0.95(n=54) | 2.9±1.55(n=54) |
副作用の発現頻度は、ULD配合製剤群89.7%(96/107例)、プラセボ群57.4%(31/54例)であった。ULD配合製剤群の主な副作用(10%以上)は、不正性器出血70.1%(75例)、希発月経22.4%(24例)、頭痛12.1%(13例)、下腹部痛10.3%(11例)であった。
引用:フリウェル配合錠LD/フリウェル配合錠ULD 添付文書
よくある質問
フリウェルを飲み忘れてしまった場合はどのように対応したらいいですか?
前日の飲み忘れに気付いた場合、直ちに前日の飲み忘れた錠剤を服用し、当日の錠剤も通常の服薬時刻に服用してください。2日以上服薬を忘れた場合は、気付いた時点で前日分の1錠を服用し、当日の錠剤も通常の服薬時刻に服用し、その後は当初の服薬スケジュールどおり服用を継続してください。
フリウェルを飲むと太ったりニキビができるって本当ですか?
フリウェルの添付文書には、副作用として体重増加や痤瘡(ニキビ)が報告されています。頻度は0.1~5%未満と低いですが、特に飲みはじめの時期はホルモンバランスの変化によって副作用が起こりやすいことがあります。個人差が大きいため、継続的に体重増加やニキビが気になる場合は医師に相談してください。
フリウェルを飲むと鬱になるというのは本当ですか?
気分の落ち込みも副作用として報告されていますが、頻度は不明です。また、うつのような気分の落ち込みが低用量ピルによるものであるという研究結果はないため、うつとの因果関係は不明です。
フリウェルとヤーズの違いについて教えて下さい
フリウェル配合錠ULDとヤーズはどちらも月経困難症の治療に使われる超低用量ピルです。
卵胞ホルモンは同じですが、黄体ホルモンの種類が異なります。ヤーズは「ドロスピレノン」が配合されており、これはフリウェルの黄体ホルモンである「ノルエチステロン」よりも男性ホルモン様作用が少ないため、体重増加やニキビなどの副作用が出にくいとされています。