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オゼンピックを使えない人(禁忌)と、膵炎・胃腸障害・低血糖・腸閉塞・妊娠予定・麻酔など注意が必要な状態をPMDA資料に基づいて解説します。
オゼンピックを使えない人・注意が必要な人|禁忌と持病を確認
電子添文で「投与しない」とされる禁忌と、持病・併用薬・手術予定などから慎重な判断が必要な状態は同じではありません。オゼンピックを始める前に確認したい項目を、PMDAの最新資料に沿って整理します。
オゼンピックを使えないのは、成分への過敏症歴がある人、糖尿病性ケトアシドーシス・糖尿病性昏睡等または1型糖尿病の人、重症感染症・手術などの緊急時にある人です。膵炎歴、胃不全麻痺を含む重い胃腸障害、腸閉塞歴、妊娠予定、低血糖リスク、麻酔予定などがある場合は、禁忌でなくても使用前に医師の個別判断が必要です。
使用中に、持続する激しい腹痛や背中へ広がる痛み、繰り返す嘔吐、排便・排ガスの停止と腹部膨満、意識低下を伴う低血糖などがあれば、次回予約を待たず医療機関へ相談してください。症状が強い場合は救急受診を検討します。
オゼンピックの承認された適応を確認する

日本で承認されたオゼンピック皮下注2mgの効能・効果は2型糖尿病です。食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない場合に限り、適用を考慮します。[1]
日本糖尿病学会と製造販売元は、2型糖尿病以外を対象とする美容・痩身・ダイエット目的の使用について、国内で有効性と安全性が確認されていないと注意喚起しています。本記事は適応外使用を勧めるものではありません。[4][5]
禁忌と「注意が必要な人」は同じではありません
禁忌は、電子添文上、その状態では投与しないと定められた条件です。一方、「特定の背景を有する患者に関する注意」や「重要な基本的注意」は、病歴、症状、併用薬、手術予定などを確認したうえで、投与の可否や観察方法を個別に判断する項目です。注意事項に一つ該当しただけで直ちに使用不能とは限りませんが、本人だけで安全と決めることもできません。
また、治療開始時には問題がなくても、その後に妊娠希望が生じる、手術が決まる、別の糖尿病薬が追加される、嘔吐・便秘などが強くなるといった変化があります。診察時の問診は初回だけで終わりではなく、状況が変わるたびに更新する必要があります。
オゼンピックを使えない人(禁忌)
電子添文で禁忌とされるのは次の3区分です。「注意が必要」と「使用できない」を混同せず、現在の状態を医師へ正確に伝えます。[1]
| 禁忌の区分 | 該当する状態 | 理由・対応 |
|---|---|---|
| 過敏症歴 | オゼンピックの成分に対し過敏症の既往がある | 再投与で重いアレルギー反応が起こる可能性があるため投与しない |
| 緊急の血糖管理が必要 | 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、1型糖尿病 | インスリン製剤による速やかな治療が必要なため、オゼンピックで代替しない |
| 重症感染症・緊急時 | 重症感染症、手術などの緊急の場合 | インスリン製剤による血糖管理が望まれるため投与しない |
「手術予定」と「手術などの緊急時」は分けて考えます
予定手術があるだけで全員が同じ扱いになるわけではありません。しかし、緊急手術時は禁忌であり、予定手術・内視鏡検査などで全身麻酔や深い鎮静を行う場合も、胃内容物の残留と誤嚥への注意が必要です。日程が決まったら早めに処方医と手術・検査担当者へ伝えてください。
膵炎歴・重い胃腸障害がある人
急性膵炎は重大な副作用として記載されています。過去に膵炎になった人は、電子添文上「特定の背景を有する患者に関する注意」の対象です。持続する激しい腹痛、背中へ広がる痛み、嘔吐などが現れた場合は使用を中止し、速やかな診断を受けます。[1][2]
オゼンピックは胃内容排出を遅らせる作用があり、胃不全麻痺を含む重い胃腸障害がある人では、症状を悪化させる可能性があります。吐き気や便秘があるだけで直ちに禁忌とは限りませんが、食事・水分を取れない、嘔吐を繰り返す、腹部膨満が強い場合は次の投与を自己判断せず処方医へ相談します。
低血糖リスクが高い人と併用薬

オゼンピック単独でも低血糖が起こる可能性はありますが、インスリン製剤やスルホニルウレア剤などと併用するとリスクが高まります。低血糖を起こすおそれがある状態として、脳下垂体機能不全、副腎機能不全、栄養不良、飢餓状態、不規則な食事、食事量不足、激しい筋肉運動、過度の飲酒などが挙げられています。[1]
| 薬・状態 | 確認すること | 注意点 |
|---|---|---|
| インスリン製剤・SU剤 | 低血糖歴、自己測定値、食事量 | 必要に応じて併用薬の減量を検討する |
| ほかのセマグルチド製剤 | 内服・注射を含む同成分の重複 | 併用しない |
| DPP-4阻害薬 | 現在の糖尿病治療薬 | 併用時の有効性・安全性は確認されていない |
| 食事不足・過度の飲酒 | 最近の食事量、飲酒、運動 | 低血糖の症状と対処を事前に確認する |
冷汗、振戦、動悸、強い空腹感、集中力低下などが出た場合の対処は、あらかじめ処方医から説明を受けます。意識がはっきりしない人へ無理に飲食させず、救急要請を検討してください。
腸閉塞歴と全身麻酔・深い鎮静の予定
腹部手術歴や腸閉塞の既往がある人は、腸閉塞を含む重大な副作用に注意します。高度の便秘、持続する腹痛、嘔吐、腹部膨満などが現れた場合は、使用を中止して適切な処置を受けるよう電子添文に記載されています。[1]
2026年5月改訂の電子添文では、全身麻酔または深い鎮静を予定する人への注意が追記されました。胃内容排出遅延により、十分な絶食時間を設けても胃内容物が残り、誤嚥につながるおそれがあるためです。[1]
| 予定・症状 | いつ伝えるか | 伝える内容 |
|---|---|---|
| 手術・内視鏡検査 | 予定が決まった時点 | 製品名、週1回の投与曜日、最終投与日、消化器症状 |
| 全身麻酔・深い鎮静 | 予約時と当日確認時 | オゼンピック使用中であること、嘔吐・胃もたれ・腹部膨満の有無 |
| 腹痛・嘔吐・排ガス停止 | 症状が出た時点 | 発症時刻、最終投与日、腹部手術・腸閉塞歴 |
休薬日数は手術や鎮静方法、糖尿病の状態、胃腸症状などで変わるため、一般記事の情報だけで決めません。自己判断の休薬は高血糖につながる可能性もあるため、処方医と麻酔・検査担当者の指示を確認します。
妊娠予定・妊婦・授乳中の人
妊婦、妊娠している可能性がある女性、または2か月以内に妊娠を予定する女性には投与しないこととされています。妊娠希望が生じたら、自己判断で中止・再開せず、糖尿病治療の切り替えを含め早めに相談してください。[1]
授乳中は、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討します。妊娠・授乳中の血糖管理は母体と子どもの安全に関わるため、オンラインの一般情報だけで判断せず、産婦人科と糖尿病診療の担当者へ共有します。
そのほか診察で伝えたい持病・症状
禁忌でなくても、次の病歴や症状がある場合は開始前に伝えます。状態によっては検査、用量調整、別の治療選択肢が必要です。
| 確認項目 | 具体例 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 腎機能 | 慢性腎臓病、透析、脱水しやすい状態 | 嘔吐・下痢による脱水で腎機能が悪化する可能性 |
| 眼の病気 | 糖尿病網膜症、急な視力低下や視野異常 | 血糖改善に伴う網膜症の変化や、非動脈炎性前部虚血性視神経症の報告に注意 |
| 胆嚢・胆道 | 胆石、胆嚢炎、胆管炎の既往 | 胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸が重大な副作用として記載 |
| 高齢・栄養状態 | 食事量低下、体重減少、複数薬の使用 | 胃腸症状、低血糖、脱水の影響を受けやすい可能性 |
甲状腺の病気について
動物試験では甲状腺C細胞腫瘍が報告されていますが、人での関連は明らかではありません。甲状腺疾患の既往、首のしこり、声のかすれ、飲み込みにくさなどがある場合は診察で伝えてください。海外製品情報の禁忌を日本の電子添文へそのまま置き換えず、日本での添付文書と個別の診断に基づいて判断します。[1]
診察前に準備するチェックリスト

- 2型糖尿病の治療歴、最近のHbA1c・血糖値、低血糖の有無
- 膵炎、胆石・胆嚢炎、重い胃腸障害、腹部手術、腸閉塞の既往
- 腎機能、眼の病気、甲状腺疾患、アレルギー歴
- 妊娠の可能性、妊娠希望、授乳状況
- 予定している手術・内視鏡検査・全身麻酔・深い鎮静
- インスリン、SU剤、DPP-4阻害薬、ほかのセマグルチド製剤を含む全ての薬
- 市販薬、サプリメント、飲酒量、食事量、最近の体重変化
薬の名称が分からない場合は、現物、お薬手帳、薬局アプリや写真を用意します。注射薬は投与曜日と最終投与日も確認しておくと、手術・検査前の相談に役立ちます。
使用中に中止・受診を考える症状
次の症状は原因を自己診断せず、次回投与や受診時期について速やかに確認します。症状が強い、意識状態が悪い、呼吸が苦しい場合は救急受診を検討してください。
- 持続する激しい腹痛、背中へ広がる痛み、繰り返す嘔吐
- 高度の便秘、腹部膨満、排便・排ガスの停止
- 冷汗、ふるえ、動悸、意識低下など強い低血糖症状
- 黄疸、発熱を伴う右上腹部痛、灰白色便など胆道系の異常を疑う症状
- 急な視力低下、視野の欠け、見え方の大きな変化
- じんましん、顔・唇・舌の腫れ、呼吸困難などアレルギー症状
副作用の頻度や日常的な対処は、役割を分けたオゼンピックの副作用・対処法で確認できます。本記事は、使用開始前の禁忌・持病・併用薬の確認を中心に扱います。
まとめ
- オゼンピックの日本での承認適応は2型糖尿病です。ダイエット目的の適応外使用を勧める記事ではありません。
- 成分への過敏症歴、糖尿病性ケトアシドーシス等・1型糖尿病、重症感染症・手術などの緊急時は禁忌です。
- 膵炎歴、重い胃腸障害、腸閉塞歴、低血糖リスク、妊娠予定、腎・眼・胆道の病気は診察で確認します。
- ほかのセマグルチド製剤とは併用せず、インスリン・SU剤などとの併用では低血糖に注意します。
- 全身麻酔・深い鎮静を予定する場合は、最終投与日と胃腸症状を処方医・麻酔担当者へ早めに伝えます。
- 激しい腹痛、嘔吐、腹部膨満、排ガス停止、意識低下などがあれば次回予約を待たず受診します。