中用量ピルとは
中用量ピルは主に月経移動目的で処方されるピルです。
低用量ピルとの違いは配合されているエストロゲンの量で、高い効果が期待できる反面、副作用も強く出やすいという特徴があります。
現在日本国内ではプラノバールというピルが流通しています。当院でも自費診療で取り扱っております。
ピルの種類について
そもそも中用量・低用量とは何かというと、配合されているエストロゲンの量で決まっています。
ピルの分類 | 1錠あたりのエストロゲン含有量 | 治療目的 |
---|---|---|
高用量ピル | 75㎍以上 | 不正出血、過多月経、月経困難症、子宮内膜症など |
中用量ピル | 50㎍ | |
低用量ピル | 30~40㎍ | 避妊、月経困難症、月経移動 |
超低用量ピル | 20㎍ | 避妊、月経困難症、子宮内膜症に伴う疼痛改善 |
エストロゲン含有量が多ければ多いほど治療の意味合いが強くなっていきます。例えば多量の不正出血を止めたいときには中用量以上のピルを短期間処方して応急的に止血して、貧血の進行を防止します。
中用量ピルの効果
中用量ピルの効果は基本的に低用量ピルと変わりませんが、ホルモンが高配合されているため効果も強いです。そのため、飲み忘れても影響が少ないというメリットがあります。
中用量ピルの主な効果は下記です。
- 月経困難症改善
- 月経不順(生理不順)改善
- 月経の移動(月経の時期を早める/遅らせる)
特に近年は低用量ピルの種類も増え、月経困難症や生理不順は低用量ピルで十分治療できるようになってきたことから、中用量ピルは月経移動で使われる方が多くなっています。
中用量ピルの副作用
副作用についても低用量ピルと変わりませんが、副作用が出やすかったり症状が重かったりします。この点を考慮し、一般的には低用量ピルを用いて治療することが多くなっているのです。
主な副作用
頭痛、肝機能異常、不正出血、子宮破綻出血、子宮点状出血、乳房緊満感、浮腫、体重増加、悪心、嘔吐、食欲不振が見られることがあります。
重大な副作用
- 血栓症
下肢の急激な疼痛・腫脹、息切れ、胸痛、頭痛、四肢の脱力や麻痺、構語障害、視力障害などが見られた場合は直ちに投与を中止し、医師の診察を受けてください。 - アナフィラキシー
呼吸困難や蕁麻疹、血管浮腫、そう痒感などが見られた場合は投与を中止して適切な処置を行ってください。
中用量ピルの使用目的
中用量ピルは主に月経移動と避妊(アフターピル)として使用されます。
月経移動
卵胞ホルモンと黄体ホルモンの量をコントロールすることで、月経の予定日を早めたり遅らせたりすることが可能です。大事な試験や旅行など、生理を気にせずに集中したり楽しみたい場合に使われます。副作用も強いため、短期間のみの服用が一般的です。
避妊(アフターピル)
低用量ピルよりもホルモン配合量が多いため、医療現場では緊急避妊薬としても利用されることがあります。
ただしプラノバールは緊急避妊薬ではなくあくまでも中用量ピルですが、ヤッペ法という緊急避妊法ではプラノバールが用いられます。
当院では緊急避妊目的での処方はしておりませんのでご注意ください。
月経移動の方法
月経を遅らせるか早めるかで、服用方法が異なります。当院では、基本的には遅らせる方法をおすすめしています。
月経を遅らせる場合(医師推奨)
生理予定日の5〜7日前から ピルの服用を開始してください。服用を停止すると2〜3日で生理がきます。服用中は生理が来ないため、生理を避けたい日まで服用を続けてください。
月経を早める場合
前回の生理初日から5日目までに ピルの服用を開始してください。生理を早めたい日の2〜3日前まで服用を継続してください。服用期間はおおよそ10日〜14日です。
中用量ピルのよくある質問
中用量ピルを飲んでいれば避妊をしなくても大丈夫ですか?
現在日本で流通している中用量ピルのプラノバールには避妊への適応がありません。
そのため、当院では避妊を目的とした中用量ピルの処方は行っておりません。
他院での処方に関しては医師の判断によりますが、基本的には服用期間も短いため十分な避妊効果は期待できないと思われます。
そのため別の避妊方法を併用することをおすすめいたします。