カルプロニウムとは
カルプロニウムは、主に脱毛症の治療に用いられる外用薬で、特に円形脱毛症や男性型脱毛症(AGA)に対して使用されています。この薬剤は、血行を促進し、頭皮の健康を改善することで発毛をサポートします。日本国内では長年にわたり使用されており、一部の製品は保険適用もされています。
脱毛症の治療のほか、尋常性白斑の治療にも使用されます。
カルプロニウムの作用機序と効果
カルプロニウムは、頭皮の血管を拡張し、血流を増加させることで毛根に栄養を供給し、発毛を促進します。この作用により、脱毛の進行を抑え、新しい髪の成長を促す効果が期待されています。特に5%のカルプロニウム塩化物外用薬が日本では保険適用されており、男性型脱毛症の治療に広く用いられています。
円形脱毛症におけるカルプロニウムの使用
円形脱毛症の治療においてもカルプロニウムは使用されることがあります。特に軽度から中度の症状に対して、他の治療と併用されることが一般的です。カルプロニウムは頭皮への血流を改善し、毛髪の成長を助けるため、脱毛部分の改善が見られる場合があります。しかし、効果には個人差があり、すべての患者に同じ結果が得られるわけではありません。
添付文書では脱毛症に対する効果は約6割とされています。また、効果が出るまで1~2ヶ月の継続が必要であると考えられています。
カルプロニウムの使用方法
脱毛症・乾性脂漏の場合
1日2〜3回適量を患部に塗布、あるいは被髪部全体にふりかけ、軽くマッサージしてください。
尋常性白斑の場合
1日3〜4回適量を患部に塗布してください。
カルプロニウムの副作用
- 頭皮のかゆみ
- 頭皮の赤み
- 刺激感
- 頭皮の乾燥
- 皮脂の分泌増加
- アレルギー反応(まれに発生)
これらの副作用が現れた場合は、医師に相談し適切な対処を行うことが推奨されます。
AGA治療におけるカルプロニウムの推奨度について
日本皮膚科学会の2017年版ガイドラインでは、カルプロニウム塩化物の外用は、AGA治療において推奨度C1とされています。これは、カルプロニウム塩化物の使用を行ってもよいというレベルの推奨です。
これまで、カルプロニウム塩化物に関して、男性型脱毛症に対する4件の症例集積研究および1件の非ランダム化比較試験が行われました。その中には、女性が含まれている試験もありますが、女性型脱毛症に対する臨床効果を検討した研究は実施されていません。
5%カルプロニウム塩化物を用いた試験では、被験者の66.7%で脱毛抑制や発毛が見られ、偽薬では効果がありませんでした。10%のカルプロニウムを用いた研究でも、一部の被験者に効果が確認されています。しかし、全体としての有効性はまだ十分に実証されておらず、さらなる研究が必要です。
日本では、カルプロニウム塩化物は5%の濃度で長年保険適応されており、生薬を含む合剤も広く使用されています。この診療実績を踏まえ、使用を検討してもよいとされています。
カルプロニウムについてのよくある質問
女性でも使用できますか?
カルプロニウムは女性にも使用可能ですが、特に女性型脱毛症に対する有効性を示した十分な研究がまだありません。そのため、医師の指導のもとで使用することが推奨されます。女性の薄毛には他の治療法が選ばれることが多いです。当院では女性AGAの場合、スピロノラクトンやミノキシジルによる治療を推奨しております。
円形脱毛症の治療は保険適用で可能ですか?
はい、円形脱毛症の治療にカルプロニウムを使用する場合、保険適用が可能です。日本では、5%カルプロニウム塩化物外用薬が保険適用されており、一定の条件のもとで治療を受けることができます。
他の薬との併用は可能ですか?
カルプロニウムは、他の外用薬や内服薬と併用することが可能です。AGA内服薬のフィナステリドやデュタステリドとの併用についても問題ございません。ただし、使用前には必ず医師に相談し、薬の相互作用や副作用のリスクを確認することが重要です。特に、血流を促進する薬剤との併用には注意が必要です。
塗る回数を増やしたら効果も高まりますか?
カルプロニウムを所定の回数以上使用したからといって高い効果が期待できるわけではありません。むしろ副作用が強く出ることがございますので、指示通りに使用してください。