デュタステリドとは
デュタステリドは、男性型脱毛症(AGA)の治療に使用されるザガーロのジェネリック医薬品です。デュタステリドは、DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制し、脱毛の進行を遅らせ、髪の成長を促します。DHTはAGAの主要な原因であり、その生成を抑えることが治療のカギです。
フィナステリド(プロペシア)とは異なり、デュタステリドは5αリダクターゼのI型とII型の両方を阻害するため、フィナステリドよりも強力な効果が期待できます。デュタステリドは日本で承認され、特に進行したAGAに効果的です。
デュタステリドの作用機序と効果
デュタステリドは、5αリダクターゼのI型とII型の両方を阻害することでDHTの生成を強力に抑制します。この効果により、頭頂部だけでなく前頭部の薄毛にも効果が確認されています。臨床試験では、6ヶ月から12ヶ月の使用で顕著な効果が認められています。特に12ヶ月以上の継続使用が推奨され、効果が現れるまでには個人差があります。
フィナステリドとの効果の違い
フィナステリドは抜け毛を抑える薬ですが、同様の効果を持つ薬にデュタステリドがあります。デュタステリドはザガーロのジェネリック医薬品で、当院でも取り扱いがございます。
項目 | フィナステリド | デュタステリド |
---|---|---|
主成分 | フィナステリド(1mg) | デュタステリド(0.1mgまたは0.5mg) |
作用機序 | 5αリダクターゼのII型のみを阻害 | 5αリダクターゼのI型とII型を阻害し、DHT生成を抑制 |
効果 | 脱毛の進行を遅らせ、新たな髪の成長を促進 | 脱毛の進行をより強力に抑制し、髪の成長をさらに促進 |
効果が確認される部位 | 頭頂部と前頭部の薄毛 | 頭頂部と前頭部の薄毛 |
服用方法 | 経口薬(1日1回、1mg) | 経口薬(1日1回、0.5mgが一般的) |
副作用 | 性欲減退、勃起不全、抑うつ感 | 性欲減退、勃起不全、抑うつ感、頭痛、めまい |
フィナステリドとデュタステリドでは、デュタステリドのほうが効果は強いとされています。しかし、その分副作用が強かったり、値段が高いというデメリットもあるため、軽度の抜け毛や予防観点でAGA治療を開始する場合はフィナステリドから始めるのが良いでしょう。
デュタステリドとミノキシジルの効果の違い
デュタステリドとミノキシジルは、共にAGA治療薬として広く使われていますが、作用機序や効果の違いがあります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
項目 | デュタステリド | ミノキシジル |
---|---|---|
作用機序 | 5αリダクターゼを阻害し、DHTの生成を抑える | 血管を拡張し、毛包に栄養を供給し、発毛を促進 |
効果 | 脱毛の進行を強力に抑制し、髪の成長を促進 | 髪の成長を促進し、薄毛部分に新しい毛を生やす |
服用方法 | 経口薬(1日1回、0.5mg) | 外用薬(塗布液)や経口薬 |
デュタステリドの副作用
デュタステリドには、いくつかの副作用が報告されています。以下がその主なものです。
- 性機能障害: 性欲減退、勃起不全、射精障害
- 乳房関連障害: 女性化乳房、乳房痛
- 精神神経系: 抑うつ感、頭痛、めまい
- 消化器症状: 腹部不快感、下痢
- 皮膚症状: 発疹、かゆみ
- 重大な副作用: 肝機能障害(AST、ALT、ビリルビン上昇)
デュタステリド服用時の注意点
デュタステリドを服用する際には、次の点に注意が必要です。
- 1日1回、0.5mgを継続的に服用: 一定の時間に服用することで効果が安定します。
- 定期的な健康チェック: 特に肝機能に問題がないか確認することが重要です。
- 妊娠中の女性との接触を避ける: デュタステリドは妊娠中の女性が接触すると胎児に悪影響を与える可能性があるため、厳重に管理が必要です。
デュタステリドの個人輸入について
個人輸入でデュタステリドを購入するケースもありますが、安全性の観点から推奨されません。成分が不正確であることがあり、副作用が発生した場合でも医療救済制度を受けられないリスクがあります。したがって、正規の医療機関からの処方が推奨されます。
デュタステリドの臨床成績
国際共同試験(第II/III相二重盲検比較試験)
- 対象: 20〜50歳の男性型脱毛症患者917名(日本人200名を含む)。
- 試験デザイン: デュタステリド(0.02mg、0.1mg、0.5mg)を24週間投与し、プラセボおよびフィナステリド1mgと比較。
- 結果: デュタステリド0.1mgと0.5mgはプラセボに対して優越性を示し、フィナステリド1mgに対しても非劣性を確認。
投与量 | プラセボとの差 | フィナステリドとの差 |
---|---|---|
0.1mg | +67.9本 (p<0.001) | 非劣性確認 (p=0.56) |
0.5mg | +94.4本 (p<0.001) | 非劣性確認 (p=0.003) |
国内長期投与試験
- 対象: 120名の男性型脱毛症患者。
- 試験デザイン: デュタステリド0.5mgを52週間投与。
- 結果: 頭頂部の毛髪数が68.1本増加し、有効性が確認されました。
出典:グラクソ・スミスクライン株式会社「ザガーロカプセル0.1mg ザガーロカプセル0.5mg に関する資料」
よくある質問
服用後、どのくらいで効果が見られますか?
デュタステリドの効果は6ヶ月程度で現れますが、個人差があります。12ヶ月以上の継続服用が推奨されます。
肝機能に悪影響はありますか?
肝機能障害は稀ですが、副作用として報告されています。定期的な血液検査が推奨されます。
デュタステリドは保険適用ですか?
デュタステリドによるAGA治療は、保険適用外の自費診療となります。
参考文献
- Andriole GL,et al., N Engl J Med., 362, 1192-1202, (2010)
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- Akaza H,et al., Jpn J Clin Oncol., 41, 417-423, (2011)
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- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」