📋 この記事のポイント
テストステロンがDHTに変換されるメカニズムや、それが男性型脱毛症・前立腺肥大症にどう影響するかを医師が解説。オンライン診療での治療法や利便性も紹介。
- ✓ テストステロンは5αリダクターゼ酵素によってより強力なDHTに変換されます。
- ✓ DHTは男性の性的な発達に不可欠ですが、過剰な生成は脱毛症や前立腺肥大などの原因となることがあります。
- ✓ オンライン診療では、この変換プロセスを考慮した治療薬の処方や、自宅での継続的なケアが可能です。
男性ホルモンであるテストステロンは、体内でさまざまな役割を担っています。しかし、その一部は「ジヒドロテストステロン(DHT)」という別のホルモンに変換され、これが男性の健康、特に薄毛や前立腺の健康に深く関わっていることをご存知でしょうか。この変換プロセスを理解することは、男性の健康管理において非常に重要です。
テストステロンとは?男性の健康における役割

テストステロンは、男性の主要な性ホルモンであり、精巣で主に生産されます。男性の身体的特徴の形成、性機能の維持、骨密度の保持、筋肉量の増加、赤血球の生産など、多岐にわたる生理機能に関与しています。思春期における二次性徴の発現から、成人期の活力維持まで、男性の生涯にわたって不可欠なホルモンです。
しかし、テストステロンは体内で常に同じ形で存在しているわけではありません。特定の酵素の働きによって、その一部がより強力なホルモンへと姿を変えることがあります。この変換プロセスが、男性の健康に良い影響も悪い影響ももたらすのです。当院では、初診時に「最近、疲れやすくなった」「性欲が低下した」といったテストステロン低下を疑う症状を訴える患者さまも少なくありませんが、同時に脱毛や前立腺の症状を気にされる方も多くいらっしゃいます。
テストステロンからDHTへの変換プロセス:5αリダクターゼ酵素の働き
テストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変換されるプロセスは、体内の特定の酵素によって触媒されます。この酵素こそが「5αリダクターゼ」です。
5αリダクターゼ酵素とは?
5αリダクターゼは、テストステロンの二重結合を還元し、より強力なアンドロゲンであるDHTを生成する酵素です。この酵素には主に2つのタイプが存在します。
- I型5αリダクターゼ: 皮膚、特に頭皮や皮脂腺に多く存在します。
- II型5αリダクターゼ: 前立腺、精嚢、毛包(特にAGAの原因となる部分)、肝臓などに多く存在します。
これらの酵素は、体内の異なる部位でテストステロンをDHTに変換し、それぞれ異なる生理作用を引き起こします。例えば、肝臓ではテストステロンとDHTの変換と代謝が行われることが示されています[2]。また、男性の生殖器官において、テストステロンからDHTへの変換を阻害することで、その機能に影響を与える可能性も指摘されています[3]。
DHTの生成と作用
DHTはテストステロンよりもアンドロゲン受容体への結合親和性が高く、その作用はテストステロンの約2〜3倍強力であるとされています。DHTは男性の胎児期における外性器の形成や思春期における前立腺の成長に不可欠ですが、成人期においては以下のような影響を及ぼすことがあります。
- 男性型脱毛症(AGA): 頭皮の毛包にあるアンドロゲン受容体にDHTが結合することで、毛周期が短縮され、髪の毛が細く短くなることで薄毛が進行します。
- 前立腺肥大症: 前立腺組織の増殖を促進し、前立腺肥大症の原因となります。
- ニキビや脂性肌: 皮脂腺の活動を活発にし、ニキビや脂性肌の原因となることがあります。
当院のオンライン診療では、脱毛症や前立腺の症状で悩む患者さまから「なぜ自分だけこんなに症状が進むのか」というご相談をよく受けます。これは、遺伝的な要因や5αリダクターゼの活性度、アンドロゲン受容体の感受性などが複雑に絡み合っているためです。
- ジヒドロテストステロン(DHT)
- テストステロンが5αリダクターゼ酵素によって変換されて生成される、より強力なアンドロゲン(男性ホルモン)です。男性の性的な発達に重要な役割を果たす一方で、男性型脱毛症(AGA)や前立腺肥大症の主な原因物質としても知られています。
DHTの過剰な生成はなぜ問題となるのか?

DHTは男性の健康に不可欠なホルモンである一方で、その過剰な生成は特定の疾患のリスクを高めることが知られています。特に、男性型脱毛症(AGA)と前立腺肥大症は、DHTが深く関与する代表的な疾患です。
男性型脱毛症(AGA)との関連
AGAは、男性ホルモンの影響によって進行する脱毛症です。頭頂部や生え際から薄毛が進行し、最終的には頭髪が失われることがあります。このプロセスにおいて、DHTが重要な役割を果たします。頭皮の毛包に存在する5αリダクターゼ(主にII型)がテストステロンをDHTに変換し、このDHTが毛包のアンドロゲン受容体に結合することで、毛周期が乱れ、髪の毛の成長期が短縮されます。その結果、髪の毛は十分に成長せず、細く短い状態で抜け落ちてしまうのです。
前立腺肥大症との関連
前立腺肥大症は、加齢とともに前立腺が大きくなり、尿道を圧迫することで排尿障害を引き起こす疾患です。前立腺組織の増殖にはDHTが大きく関与しており、前立腺細胞内の5αリダクターゼ(主にII型)によって生成されたDHTが、細胞の増殖を促進します。前立腺がん細胞においても、テストステロンの蓄積やDHTへの変換、アンドロゲン受容体シグナルが5αリダクターゼ阻害剤によってどのように影響されるかが研究されています[4]。
これらの疾患は、生活の質を著しく低下させる可能性があります。オンライン診療では、患者さまがこれらの症状について気軽に相談できるよう、プライバシーに配慮した環境を提供しています。治療を始めて数ヶ月ほどで「抜け毛が減った」「夜間のトイレの回数が減った」とおっしゃる方が多いです。
DHTの生成を抑制する治療法はあるのか?
DHTの過剰な生成が原因となる疾患に対しては、その生成を抑制する治療法が確立されています。主に、5αリダクターゼ酵素の働きを阻害する薬剤が用いられます。
5αリダクターゼ阻害薬の種類と作用機序
5αリダクターゼ阻害薬には、主に以下の2種類があります。
- フィナステリド: II型5αリダクターゼを主に阻害します。AGA治療薬として広く用いられています。
- デュタステリド: I型とII型の両方の5αリダクターゼを阻害します。AGA治療薬および前立腺肥大症治療薬として用いられます。
これらの薬剤は、テストステロンがDHTに変換されるのを阻害することで、体内のDHT濃度を低下させ、AGAの進行を抑制したり、前立腺の肥大を改善したりする効果が期待できます。例えば、クレアチンモノハイドレートの補給が、大学生ラグビー選手のDHTとテストステロンの比率に影響を与える可能性も示唆されていますが[1]、薬物による直接的な阻害はより強力な効果をもたらします。
| 項目 | フィナステリド | デュタステリド |
|---|---|---|
| 阻害する5αリダクターゼ型 | II型 | I型、II型 |
| DHT抑制効果 | 約70% | 約90% |
| 主な適応症 | 男性型脱毛症(AGA) | 男性型脱毛症(AGA)、前立腺肥大症 |
治療の選択と注意点
これらの薬剤は医師の処方が必要です。当院では、患者さまの症状、既往歴、ライフスタイルなどを総合的に判断し、最適な治療薬をご提案しています。処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、患者さまが治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。特に、性機能に関する副作用を心配される患者さまもいらっしゃいますので、丁寧に説明し、不安を解消できるよう努めています。
5αリダクターゼ阻害薬は、女性や未成年者には処方できません。また、妊娠中の女性が薬剤に触れることのないよう、取り扱いには十分な注意が必要です。必ず医師の指示に従って服用してください。
オンライン診療でDHT関連の悩みを解決できる?

DHTが関与する男性型脱毛症や前立腺肥大症の治療は、継続的な服薬と定期的な医師の診察が重要です。オンライン診療は、これらの疾患の治療において、患者さまにとって大きなメリットをもたらします。
オンライン診療のメリット
- 利便性: 自宅や職場からスマートフォンやパソコンを通じて診察を受けられるため、通院にかかる時間や交通費を節約できます。忙しい方でも治療を継続しやすくなります。
- プライバシーの確保: 医療機関への出入りを気にすることなく、自宅で診察を受けられるため、薄毛治療などデリケートな悩みを抱える方にとって心理的な負担が軽減されます。当院のオンライン診療では、患者さまにご自身の頭部の写真を複数枚送っていただき、それを基に医師が視診を行います。
- 継続しやすい環境: 定期的な診察や処方薬の配送がスムーズに行えるため、治療の中断を防ぎ、効果を最大限に引き出すことができます。自宅で治療を続けられる患者さまからは、「通院の手間がなく、仕事が忙しくても続けられるのが便利」という声をいただいています。
オンライン診療の流れ
- 予約: 当院のウェブサイトから、ご希望の日時を選択し、オンライン診療の予約を行います。
- 診察: 予約時間になったら、スマートフォンやパソコンを通じて医師とビデオ通話で診察を行います。問診や視診(送付いただいた写真含む)を通じて、症状や健康状態を詳細に確認します。
- 処方: 医師が適切な薬剤を処方します。
- 配送: 処方された薬剤は、ご指定の住所へ郵送されます。定期配送オプションをご利用いただくことで、毎月の注文の手間を省き、継続的な治療をサポートします。
料金プランと定期配送オプション
当院では、患者さまのニーズに合わせた複数の料金プランをご用意しております。月額制のプランや、まとめ買い割引など、ご自身のライフスタイルに合った選択が可能です。また、定期配送オプションをご利用いただくことで、毎月自動的に薬剤が届くため、薬切れの心配なく治療を継続できます。料金に関する詳細は、診察時または当院のウェブサイトでご確認ください。
対面診療とオンライン診療、どちらを選ぶべき?
オンライン診療は非常に便利ですが、すべての方がオンライン診療に適しているわけではありません。対面診療とオンライン診療にはそれぞれメリットがあり、ご自身の症状や状況に応じて使い分けることが重要です。
対面診療が適しているケース
- 初めての診察で不安が大きい場合: 医師に直接会って相談したい、より詳細な身体診察を受けたいという方には対面診療が適しています。
- 症状が複雑で、複数の検査が必要な場合: 血液検査や画像診断など、対面でしか行えない検査が必要な場合は、対面診療が優先されます。
- 重篤な疾患が疑われる場合: 緊急性のある症状や、専門的な治療が必要な場合は、速やかに対面診療を受けるべきです。
オンライン診療が適しているケース
- AGAやEDなど、継続的な治療が必要な慢性疾患: 定期的な処方薬の受け取りが主な目的である場合、オンライン診療は非常に効率的です。
- 遠方に住んでいる、または忙しくて通院が難しい方: 物理的な距離や時間的な制約がある場合、オンライン診療は治療の継続を可能にします。
- プライバシーを重視したい方: デリケートな悩みを他人に知られずに相談したい場合に適しています。
当院では、患者さま一人ひとりの状況に合わせて、最適な診療方法をご提案しています。オンライン診療で開始した後でも、必要に応じて対面診療への切り替えや、専門医への紹介も可能ですのでご安心ください。
まとめ
テストステロンからDHTへの変換プロセスは、男性の健康において非常に重要な生理現象です。DHTは男性の性的な発達に不可欠なホルモンである一方で、過剰に生成されると男性型脱毛症(AGA)や前立腺肥大症といった疾患の原因となることがあります。この変換を触媒する酵素が5αリダクターゼであり、その働きを抑制する薬剤がこれらの疾患の治療に用いられます。
オンライン診療は、DHT関連の悩みを持つ患者さまにとって、利便性とプライバシーを確保しながら継続的な治療を受ける有効な手段です。予約から診察、処方、薬剤の配送までを自宅で完結できるため、忙しい方や通院が難しい方でも治療を継続しやすくなります。対面診療とオンライン診療のメリットを理解し、ご自身の状況に合った選択をすることで、より良い健康管理が可能になります。ご自身の症状や治療について不安な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
- Johann van der Merwe, Naomi E Brooks, Kathryn H Myburgh. Three weeks of creatine monohydrate supplementation affects dihydrotestosterone to testosterone ratio in college-aged rugby players.. Clinical journal of sport medicine : official journal of the Canadian Academy of Sport Medicine. 2009. PMID: 19741313. DOI: 10.1097/JSM.0b013e3181b8b52f
- T Ishimaru, W A Edmiston, L Pages et al.. Splanchnic extraction and conversion of testosterone and dihydrotestosterone in man.. The Journal of clinical endocrinology and metabolism. 1979. PMID: 755039. DOI: 10.1210/jcem-46-4-528
- S K Saksena, I F Lau, M C Chang. The inhibition of the conversion of testosterone into 5alpha-dihydrotestosterone in the reproductive organs of the male rat.. Steroids. 1976. PMID: 941190. DOI: 10.1016/0039-128x(76)90135-5
- Yue Wu, Alejandro Godoy, Faris Azzouni et al.. Prostate cancer cells differ in testosterone accumulation, dihydrotestosterone conversion, and androgen receptor signaling response to steroid 5α-reductase inhibitors.. The Prostate. 2013. PMID: 23813697. DOI: 10.1002/pros.22694
- プロペシア(フィナステリド)添付文書(JAPIC)
- ザガーロ(デュタステリド)添付文書(JAPIC)