モメタゾンの効果・副作用 – 東京オンラインクリニック

モメタゾンの効果・副作用

薬名: モメタゾン
読了時間: 約1分

モメタゾンとは?

モメタゾン(Mometasone)は、合成副腎皮質ステロイド(ステロイド薬)の一種で、主にアレルギー性鼻炎や喘息、皮膚炎の治療に使用されます。炎症を抑える強力な効果を持ちながらも、局所作用が中心のため、全身性の副作用が少ないのが特徴です。

モメタゾンは以下の形状で利用されています。

  • 点鼻薬(アレルギー性鼻炎の治療)
  • 吸入薬(喘息の治療)
  • 外用薬(軟膏・ローション)(皮膚炎・湿疹の治療)

本記事では、特にアレルギー性鼻炎の治療薬としてのモメタゾンに焦点を当て、効果や使用方法、副作用について詳しく解説します。

モメタゾンの効果

モメタゾンは、抗炎症作用・免疫抑制作用・血管収縮作用を持ち、以下のような症状を改善します。

  • アレルギー性鼻炎(花粉症・通年性アレルギー)
  • 鼻づまり・くしゃみ・鼻水の軽減
  • 喘息の炎症抑制(吸入薬として)
  • アトピー性皮膚炎・湿疹の改善(外用薬として)

特に、点鼻薬として使用することで、鼻粘膜の炎症を抑え、即効性のある症状改善効果を発揮します。

効果発現までの時間と持続時間

  • 効果発現時間:点鼻薬では使用後12時間以内に症状が軽減されることが多く、継続使用で最大効果が発揮されます。
  • 持続時間:1日1回の投与で24時間効果が持続するため、毎日定期的に使用することが推奨されます。

モメタゾンの用法・用量

通常、成人および12歳以上の患者には1日1回、各鼻腔に1噴霧(50μg)を投与します。

  • 症状が重い場合:1回2噴霧(100μg)まで増量可能。
  • 小児(3〜11歳):1日1回、各鼻腔に1噴霧(50μg)。

※予防的に使用することが推奨され、症状が出る前から定期的に投与するのが理想的です。

臨床成績

生物学的同等性試験(季節性アレルギー性鼻炎)

モメタゾンフランカルボン酸エステル点鼻薬の生物学的同等性を検証するために、季節性アレルギー性鼻炎患者(成人)を対象とした治療学的同等性試験が実施されました。この試験では、本剤、標準製剤、またはプラセボを各鼻腔に2噴霧ずつ1日1回(1日200μg)投与し、その効果を比較しました。

主要評価項目として、総合鼻症状スコア(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉、鼻内そう痒感)の期間平均変化量を指標とし、本剤と標準製剤の同等性が検証されました。

試験結果

投与群症例数ベースライン(Mean ± S.D.)変化量(平均値の推定値 95%信頼区間)解析結果
本剤728.764 ± 1.754-4.297(-4.841〜-3.753)平均値の差の推定値(本剤−標準製剤):0.342 95%信頼区間:-0.427〜1.112
標準製剤728.685 ± 1.869-4.639(-5.184〜-4.095)
プラセボ368.861 ± 1.746-1.859(-2.628〜-1.089)

本試験の結果、本剤と標準製剤の治療学的同等性が確認されました。プラセボ群と比較して、本剤および標準製剤の両方において総合鼻症状スコアの有意な改善が示され、特に鼻閉・鼻汁の軽減に対する効果が顕著であることが確認されました。

安全性については、本剤および標準製剤の副作用発現率は低く、主な副作用として鼻乾燥・軽度の鼻刺激感が報告されましたが、重篤な副作用は確認されませんでした。

結論

本研究結果から、モメタゾン点鼻薬は標準製剤と同等の有効性を持ち、季節性アレルギー性鼻炎の治療において安全に使用できることが確認されました。長期使用においても、副作用が少なく、患者のQOL(生活の質)を維持しながら症状を管理できる点が大きなメリットといえます。

使用時の注意点

  • 効果が安定するまでに数日〜1週間程度かかるため、毎日継続することが重要です。
  • 頭を少し前に傾けて鼻の奥に向けて噴霧し、吸い込みすぎないよう注意しましょう。
  • 使用後は鼻を強くかまないようにし、薬液が流れ落ちないようにしましょう。
  • 鼻粘膜が乾燥しやすくなるため、鼻血が出た場合は1〜2日使用を控え、医師に相談してください。
  • 免疫抑制作用があるため、長期使用する場合は鼻のカビや細菌感染に注意しましょう。

副作用

モメタゾンは局所作用が強く、全身性の副作用はほとんどありませんが、以下のような症状が報告されています。

  • 鼻粘膜の乾燥・刺激感(使用直後に軽度の違和感を感じることがあります)
  • 鼻血(稀に起こるが、一時的なものであることが多い)
  • 喉の違和感や咳(鼻腔から喉に流れた際に発生することがある)

長期間の使用により、まれに鼻中隔穿孔や副腎機能抑制が報告されているため、定期的な医師の診察が推奨されます。

他の同様の薬との比較

薬剤名主な効果持続時間眠気投与頻度
モメタゾン(点鼻薬)鼻づまり・鼻水の改善24時間なし1日1回
フルチカゾン(点鼻薬)強力な抗炎症作用24時間なし1日1回
ベクロメタゾン(点鼻薬)鼻炎全般に有効12時間なし1日2回
抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジンなど)くしゃみ・鼻水の改善12〜24時間少ない1日1回
ロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカスト鼻閉・喘息症状の軽減24時間なし1日1回

比較ポイント

  • モメタゾンは特に鼻づまりの改善に優れており、眠気の副作用がないため日常生活に影響を与えにくい。
  • フルチカゾンはモメタゾンと同等の効果を持つが、やや強力な作用を持つため、重度の鼻炎に適している。
  • 抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジンなど)はくしゃみ・鼻水に効果的だが、鼻づまりにはやや劣る。
  • モンテルカストはアレルギー性鼻炎と喘息の両方に効果があるが、点鼻薬と比べると即効性が低い。

まとめ

  • アレルギー性鼻炎・花粉症に高い効果を発揮
  • 1日1回の点鼻で24時間効果が持続
  • 鼻づまりに特に有効で、眠気の副作用がない
  • 長期使用には鼻粘膜の乾燥や感染症に注意

モメタゾンは、アレルギー性鼻炎の治療において高い有効性と安全性が認められている点鼻薬であり、特に鼻づまりに悩む方に適した治療選択肢となります。

参考文献

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花粉症治療

保険適用の花粉症・アレルギー性鼻炎の治療。

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