ザガーロとは
ザガーロは、男性型脱毛症(AGA)の治療に使用される医薬品で、主成分はデュタステリドです。デュタステリドは、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制し、これによって脱毛の進行を遅らせ、新たな髪の成長を促す効果があります。DHTはAGAの主要な原因とされており、その生成をより効果的に抑えることが治療のカギとなります。
ザガーロは、フィナステリド(プロペシア)とは異なり、DHTを生成する酵素「5αリダクターゼ」のI型とII型の両方を阻害します。これにより、プロペシアよりも強力な効果が期待されるため、特に進行が進んだ脱毛症にも効果的とされています。日本では2015年に厚生労働省によって承認されました。
※東京オンラインクリニックではザガーロのジェネリック医薬品であるデュタステリドを取り扱っております。
ザガーロの作用機序と効果
ザガーロの主成分であるデュタステリドは、5αリダクターゼのI型およびII型の両方を阻害し、DHTの生成を強力に抑制します。この作用により、脱毛の進行をさらに遅らせ、髪の成長を促進します。特に前頭部と頭頂部の両方で効果が確認されています。臨床試験では、6ヶ月から12ヶ月の継続使用で顕著な効果が認められています。
- 6ヶ月続けることで効果を実感した人が多い
- 12ヶ月の使用でさらに効果が強まる
最低でも6ヶ月以上の継続が推奨されますが、効果が現れるまでの期間には個人差があります。副作用が現れた場合は、早めに医師に相談し、服用の継続や中止について検討することが重要です。
ザガーロとプロペシアの効果の違い
ザガーロは抜け毛を抑える薬ですが、同様の効果を持つ薬にプロペシアがあります。それぞれ作用機序や効果に若干の違いがあります。
項目 | プロペシア | ザガーロ |
---|---|---|
主成分 | フィナステリド(1mg) | デュタステリド(0.1mgまたは0.5mg) |
作用機序 | 5αリダクターゼのII型のみを阻害し、DHTの生成を抑える | 5αリダクターゼのI型とII型の両方を阻害し、DHTの生成を強力に抑える |
効果 | 脱毛の進行を遅らせ、新たな髪の成長を促す | 脱毛の進行をさらに強力に抑制し、より広範囲で髪の成長を促進 |
効果が確認される部位 | 主に頭頂部や前頭部の薄毛に効果が確認されている | 頭頂部だけでなく、前頭部の薄毛にも効果が高い |
服用方法 | 経口薬(1日1回、1mg) | 経口薬(1日1回、0.5mgが一般的) |
副作用 | 性欲減退、勃起不全、抑うつ感など | 性欲減退、勃起不全、抑うつ感、頭痛、めまいなどの可能性 |
効果が出るまでの期間 | 3〜6ヶ月で効果が現れることが多い | 6ヶ月程度で効果が確認されることが多い |
推奨される使用期間 | 最低でも1年間の継続服用が推奨される | 継続使用が推奨される |
ザガーロは、プロペシアに比べてより強力な効果が期待できます。ただし、価格が高めである点や副作用が出やすい可能性もあるため、使用する際には必ず医師の指導を受けてください。
ザガーロとミノキシジルの効果の違い
ザガーロとミノキシジルは、共にAGA治療薬として広く使われていますが、作用機序や効果の違いがあります。それぞれの特徴を以下に比較します。
項目 | ザガーロ | ミノキシジル |
---|---|---|
作用機序 | 5αリダクターゼのI型とII型の両方を阻害し、DHTの生成を抑える | 血管を拡張し、毛包に栄養を供給し、発毛を促進 |
効果 | 脱毛の進行を強力に抑制し、髪の成長を促進 | 髪の成長を促進し、薄毛部分に新しい毛を生やす |
使用部位 | 頭頂部や前頭部の薄毛に効果が高い | 頭皮全体、特に頭頂部で効果が確認されている |
服用方法 | 経口薬(1日1回、0.5mgが一般的) | 外用薬(塗布液)や経口薬の形態で使用されることが多い |
副作用 | 性欲減退、勃起不全、抑うつ感、頭痛、めまいなど | 頭皮のかゆみや炎症、まれに低血圧や心拍数の変化 |
効果が出るまでの期間 | 6ヶ月程度で効果が確認されることが多い | 4ヶ月程度で発毛効果が確認されることが多い |
推奨される使用期間 | 継続使用が推奨される | 継続使用することで効果が維持される |
ザガーロとミノキシジルの併用
ザガーロとミノキシジルは作用機序が異なるため、併用することでAGA治療の効果がさらに高まる場合があります。ザガーロはDHTの生成を抑え、ミノキシジルは血流を改善することで髪の成長を促進します。これらの薬を併用することで、AGA治療の相乗効果が期待できます。ただし、併用の際も必ず医師の指導を受けてください。
ザガーロの副作用
ザガーロにはいくつかの副作用が報告されています。以下に挙げる副作用は稀ではありますが、症状が出た場合は必ず医師に相談してください。
主な副作用
- 性機能障害: 性欲減退、勃起不全、射精障害
- 乳房関連障害: 女性化乳房、乳頭痛、乳房の不快感
- 精神神経系: 抑うつ感、頭痛、めまい
- 消化器系: 腹部不快感、下痢
- 皮膚症状: 発疹、蕁麻疹、かゆみ、脱毛症(体毛の脱毛)
- その他: 倦怠感、血中CK(クレアチンキナーゼ)増加
重大な副作用
- 肝機能障害: AST、ALT、ビリルビンの上昇を伴う肝機能障害や黄疸が現れることがあります。頻度は不明ですが、これらが発生した場合には投与を中止し、医師の診察を受ける必要があります
副作用が現れた場合には、服用を中止するか、適切な対応を取るために医師に相談することが重要です。
ザガーロ服用時の注意点
ザガーロを服用する際には、以下の点に注意してください。
- 1日1回、0.5mgを継続的に服用: 一定の時間に服用することで効果が安定しやすくなります。
- 医師の指示に従い定期的な健康チェックを受ける: 特に肝機能に問題がないか確認することが重要です。
- 妊娠中の女性との接触を避ける: ザガーロは妊娠中の女性が触れると胎児に悪影響を与える可能性があるため、厳重に管理してください。
- 他の薬との併用に注意: 特に肝臓に負担をかける薬との併用は慎重に行う必要があります。
ザガーロの個人輸入について
個人輸入でザガーロを購入する方もいらっしゃいますが、安全性の面から控えることを推奨します。有効成分の量が不正確だったり、偽造品であるケースもあるため、正規の医療機関から処方を受けることが重要です。また、副作用が発生した場合、国内で承認されていない薬では救済制度が利用できないため、リスクが伴います。
ザガーロの臨床成績
国際共同試験(第II/III相二重盲検比較試験)
- 対象: 20〜50歳の男性型脱毛症患者917名(日本人200名を含む)、Norwood-Hamilton分類のIIIv、IV、Vの脱毛タイプ。
- 試験デザイン: デュタステリド(0.02mg、0.1mg、0.5mg)を24週間投与し、プラセボおよびフィナステリド1mgとの有効性と安全性を比較。
- 結果: 頭頂部の毛髪数の変化において、デュタステリド0.1mgと0.5mgはプラセボに対して優越性を示し、フィナステリド1mgに対する非劣性も確認されました。
投与量 | プラセボとの差 | フィナステリドとの差 |
---|---|---|
0.1mg | +67.9本 (p<0.001) | 非劣性確認 (p=0.56) |
0.5mg | +94.4本 (p<0.001) | 非劣性確認 (p=0.003) |
- 承認用量: 0.1mgまたは0.5mg
国内長期投与試験
- 対象: 120名の男性型脱毛症患者(Norwood-Hamilton分類のIIIv、IV、V)。
- 試験デザイン: デュタステリド0.5mgを52週間投与。
- 結果: 頭頂部の毛髪数が68.1本増加し、有効性が確認されました。
このように、ザガーロはプラセボやフィナステリドに対して高い効果を示し、特に0.5mgの投与でより大きな改善が期待できます。
出典:グラクソ・スミスクライン株式会社「ザガーロカプセル0.1mg ザガーロカプセル0.5mg に関する資料」
ザガーロに関するよくある質問
服用後、どのくらいで効果が見られますか?
通常、6ヶ月程度の継続使用で効果が現れることが多いですが、個人差があります。フィナステリドよりも効果実感までに時間がかかるとされており、6ヶ月~1年程度は服用を継続するようにしてください。
肝機能に悪影響があると聞きましたが本当ですか?
肝機能障害は非常に稀な副作用ですが、長期間の服用は少なからず肝臓に負担をかけることがあります。定期的に血液検査を受け、肝機能の状態を確認することが大切です。
ザガーロは保険適用ですか?
ザガーロの処方は保険適用外で、自費診療となります。
参考文献
- Andriole GL,et al., N Engl J Med., 362, 1192-1202, (2010)
- Theoret MR,et al., N Engl J Med., 365, 97-99, (2011)
- Akaza H,et al., Jpn J Clin Oncol., 41, 417-423, (2011)
- Norwood OT,et al., South Med J., 68, 1359-1365, (1975)
- Gubelin HW,et al., J Am Acad Dermatol., 70, 489-498, (2014)
- Tian G,et al., Biochemistry., 34, 13453-13459, (1995)
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」