エクロックゲルの効果・副作用 – 東京オンラインクリニック

エクロックゲルの効果・副作用

薬名: エクロックゲル
読了時間: 約1分

エクロックゲルとは?

エクロックゲル(Ecclock Gel)は、日本で初めて原発性腋窩多汗症(ワキ汗)の治療薬として承認された外用薬です。主成分であるソフピロニウム臭化物が汗腺の働きを抑え、ワキ汗を効果的にコントロールします。

この薬は、抗コリン薬に分類され、副交感神経のアセチルコリンの作用を抑えることで発汗を抑制します。飲み薬(プロバンサインなど)とは異なり、局所的に作用するため、全身の副作用を抑えながらワキ汗だけをターゲットにできるのが特徴です。

エクロックゲルの効果

  • ワキ汗の分泌を抑制し、衣服の汗ジミを防ぐ
  • 発汗を抑えることで、臭いや皮膚トラブル(あせも・かぶれ)を予防
  • 塗布後すぐに乾き、ベタつかない処方
  • 1日1回の塗布で効果が持続

エクロックゲルは、交感神経の作用を抑えて汗腺の活動を制御することで、ワキの過剰な発汗を防ぐ働きをします。

効果発現までの時間と持続時間

  • 塗布後1時間以内に効果が現れ、約24時間持続します。
  • 毎日1回、ワキに塗布することで継続的な効果が期待できます。

エクロックゲルの用法・用量

  • 1日1回、ワキの清潔な状態に塗布(寝る前の使用が推奨される)
  • 専用のアプリケーターを使い、適量をワキに均一に塗布
  • 使用後は手をしっかり洗う(目や口に触れないように注意)

※ 汗をかいてから塗布すると、十分な効果が得られない可能性があります。

臨床成績

第Ⅲ相比較試験(短期試験)

原発性腋窩多汗症患者(13歳~72歳)を対象に、エクロックゲルまたは基剤を1日1回、左右の腋窩にポンプ1押し分ずつ6週間塗布した試験で、エクロックゲルの有効性が確認されました。

主要評価項目(治療終了時のHDSS注1)が1または2であり、両腋窩の合計発汗重量がベースラインの50%以下となった患者の割合)は、エクロックゲル群で53.9%、基剤群で36.4%と、有意な効果が確認されました(p=0.003)。

投与群症例数HDSS改善率(HDSS1または2)発汗重量50%以上の減少率
エクロックゲル群14153.9%(76/141)p=0.003
基剤群(プラセボ)14036.4%(51/140)

副作用発現頻度は16.3%(23/141例)で、主な副作用は以下の通りでした。

  • 適用部位皮膚炎(6.4%)
  • 適用部位紅斑(5.7%)
  • 適用部位そう痒感(2.1%)

第Ⅲ相長期投与試験(52週間)

短期試験を完了した原発性腋窩多汗症患者(13歳~72歳)を対象に、エクロックゲルを1日1回、左右の腋窩にポンプ1押し分ずつ52週間塗布した試験で、長期的な有効性と安全性が評価されました。

主要評価項目(治療終了時のHDSSが1または2であり、両腋窩の合計発汗重量がベースラインの50%以下となった患者の割合)は、エクロックゲル群で57.8%(107/185例)と、長期間の使用でも安定した効果が確認されました。

投与群症例数HDSS改善率(HDSS1または2)発汗重量50%以上の減少率
エクロックゲル群(長期投与)18557.8%(107/185)

副作用発現頻度は42.2%(78/185例)と、短期試験より増加が見られました。主な副作用は以下の通りです。

  • 適用部位皮膚炎(27.6%)
  • 適用部位湿疹(7.0%)
  • 適用部位紅斑(5.9%)
  • 適用部位そう痒感(3.2%)
  • 散瞳(瞳孔の拡大)(1.6%)
  • 霧視(視界のかすみ)(0.5%)

注1)HDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale):多汗症疾患重症度評価尺度

使用時の注意点

  • すぐに服を着ると、成分が拭き取られて効果が減少する可能性があります。
  • 抗コリン作用があるため、誤って目に入ると瞳孔が開くことがあります。
  • エクロックゲルはワキ専用の薬であり、手汗・足汗には効果がありません。
  • 皮膚の刺激やかゆみが出ることがあるため、様子を見ながら使用するのが推奨されます。

副作用

エクロックゲルは外用薬のため、副作用は比較的少ないですが、以下の症状が報告されています。

  • 皮膚のかゆみ・赤み(軽度の炎症)
  • 乾燥によるカサつき
  • 一時的なほてり感
  • 目に入ると瞳孔が開く(散瞳)可能性あり

副作用が強く出た場合は、使用を一時中止し、医師に相談してください。

他の多汗症治療薬との比較

薬剤名主な効果作用時間副作用の頻度投与頻度
エクロックゲルワキ汗の抑制24時間あり(皮膚のかゆみ・赤み)1日1回(外用)
ラピフォートワイプワキ汗の抑制24時間あり(皮膚刺激)1日1回(外用)
アポハイドローションワキ汗・手汗の抑制12〜24時間あり(皮膚刺激)1日1回(外用)
プロバンサイン(プロパンテリン)全身の発汗抑制3〜6時間あり(口渇・便秘)1日2〜3回(内服)

比較ポイント

  • エクロックゲルはワキ専用の外用薬であり、副作用が少なく、使いやすい。
  • ラピフォートワイプやアポハイドローションと同様に、ワキの発汗に効果的。
  • プロバンサイン(内服薬)は全身の発汗抑制に有効だが、副作用が多い。

まとめ

  • ワキ汗の多い人向けの治療薬(原発性腋窩多汗症に適応)
  • 1日1回の塗布で24時間効果が持続
  • 皮膚刺激やかゆみなどの軽度な副作用あり
  • 他の多汗症治療薬(ラピフォートワイプ・アポハイド・プロバンサイン)との比較を考慮して選択

エクロックゲルは、日本で初めて承認された腋窩多汗症治療薬であり、手軽に使用できる外用薬として人気があります。 他の治療薬との比較を踏まえ、自分に合った多汗症対策を選びましょう。

参考文献

関連する診療科目

多汗症治療

保険適用の多汗症治療で過度な発汗を抑制。

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