📋 この記事のポイント
脂漏性脱毛症とAGAの見分け方について、原因、症状、進行パターンを比較しながら医師が詳しく解説。オンライン診療のメリットや治療法も紹介し、適切な診断と治療への一歩をサポートします。
- ✓ 脂漏性脱毛症とAGAは原因も症状も異なるため、正確な鑑別が重要です。
- ✓ 専門医による診察と毛髪診断が、適切な治療への第一歩となります。
- ✓ オンライン診療は、忙しい方や遠方の方でも専門的な診断と治療を受けられる便利な選択肢です。
薄毛や抜け毛の悩みは多くの方が抱えるものですが、その原因は一つではありません。特に「脂漏性脱毛症」と「AGA(男性型脱毛症)」は、どちらも頭皮環境やホルモンが関与する脱毛症ですが、そのメカニズムや適切な治療法は大きく異なります。正確な診断が、効果的な治療への第一歩となります。
脂漏性脱毛症とは?その特徴とメカニズム

脂漏性脱毛症は、頭皮の皮脂が過剰に分泌されることで引き起こされる脱毛症です。この状態が続くと、頭皮の炎症やフケ、かゆみが生じ、最終的に毛髪の成長が妨げられて脱毛に至ります。
脂漏性脱毛症の原因は何ですか?
脂漏性脱毛症の主な原因は、皮脂腺の過剰な活動と、マラセチア菌という常在菌の増殖です。マラセチア菌は皮脂を栄養源として増殖し、その際に炎症を引き起こす物質を産生します。この炎症が毛根にダメージを与え、健康な髪の成長を阻害します。ストレス、不規則な生活習慣、栄養バランスの偏りなども、皮脂の過剰分泌を助長する要因となり得ます。
- マラセチア菌
- ヒトの皮膚に常在する真菌の一種で、皮脂を分解して増殖します。過剰に増殖すると、脂漏性皮膚炎や脂漏性脱毛症の原因となることがあります。
脂漏性脱毛症の主な症状は?
脂漏性脱毛症では、以下のような症状が特徴的です。
- 過剰な皮脂分泌: 頭皮がベタつき、髪が脂っぽくなる。
- フケ・かゆみ: 黄色っぽい湿ったフケが多く発生し、強いかゆみを伴うことが多い。
- 炎症・赤み: 頭皮に赤みや湿疹が見られることがある。
- 脱毛: 頭皮環境の悪化により、毛髪の成長サイクルが乱れ、全体的に抜け毛が増える。
当院のオンライン診療では、頭皮の視診を行う際に、患者さまにご自身の頭皮の写真を複数枚送っていただきます。特に、フケの質や頭皮の赤み、炎症の有無は、脂漏性脱毛症の診断において重要な情報となります。初診時に「頭皮がかゆくてフケがひどく、髪がベタつく」と相談される患者さまも少なくありません。
AGA(男性型脱毛症)とは?その特徴とメカニズム
AGAは、男性ホルモンが関与する進行性の脱毛症で、成人男性によく見られます。遺伝的要因が大きく影響し、思春期以降に発症することがほとんどです。
AGAの主な原因は何ですか?
AGAの主な原因は、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、5αリダクターゼという酵素によって「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されることです。このDHTが毛乳頭細胞にある受容体と結合することで、毛髪の成長期を短縮させ、毛を細く、短くします。結果として、髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまい、薄毛が進行します。
- 遺伝: 家族に薄毛の人がいる場合、AGAを発症するリスクが高まります。
- 男性ホルモン(DHT): テストステロンが5αリダクターゼによって変換されたDHTが、毛乳頭細胞に作用し、毛周期を乱します。
AGAの主な症状は?
AGAは特定のパターンで脱毛が進行することが特徴です。一般的に、以下の部位から薄毛が始まります。
- 生え際(M字型): 額の生え際が後退し、M字型になる。
- 頭頂部(O字型): 頭のてっぺん(つむじ周辺)が薄くなる。
- 混合型: M字型とO字型が同時に進行する。
AGAでは、頭皮の炎症やかゆみは通常見られず、毛髪が全体的に細く、短くなる「軟毛化」が進行します。当院では、AGA治療を開始して数ヶ月で「抜け毛が減り、髪にコシが出てきた」とおっしゃる方が多いです。特に、生え際や頭頂部の変化は、治療効果を実感しやすいポイントです。
脂漏性脱毛症とAGAの見分け方:症状と進行パターンの比較

脂漏性脱毛症とAGAは、それぞれ異なる特徴を持つため、正確な鑑別が重要です。誤った診断は、適切な治療の遅れにつながる可能性があります。
症状の比較
両者の主な症状を比較してみましょう。
| 項目 | 脂漏性脱毛症 | AGA(男性型脱毛症) |
|---|---|---|
| 主な原因 | 皮脂の過剰分泌、マラセチア菌の増殖、頭皮の炎症 | 男性ホルモン(DHT)、遺伝 |
| 頭皮の状態 | ベタつき、赤み、かゆみ、湿ったフケ | 通常は炎症なし、乾燥していることもある |
| 抜け毛の特徴 | 全体的に抜け毛が増える、細い毛が混じる | 生え際や頭頂部から進行、軟毛化(細く短い毛) |
| 進行パターン | 特定のパターンはなく、全体的に薄くなる傾向 | M字型、O字型、または混合型 |
| 性差 | 男女問わず発症 | 主に男性に発症(女性型脱毛症とは異なる) |
自己判断は危険?専門医による診断の重要性
これらの特徴からある程度の推測は可能ですが、自己判断は避けるべきです。頭皮の状態は複雑であり、複数の脱毛症が併発しているケースも少なくありません。例えば、脂漏性皮膚炎がAGAの進行を悪化させることもあります。専門医は、ダーモスコピー(拡大鏡)を用いた頭皮の視診[1]や、問診、時には血液検査などを通じて正確な診断を行います。特に、毛髪の形態や毛包の状態を詳細に観察することは、鑑別診断において非常に重要です[4]。当院では、患者さまの症状を詳しく伺い、頭皮の状態を丁寧に確認することで、適切な診断と治療方針を決定しています。
専門医による鑑別診断のポイント
専門医は、脂漏性脱毛症とAGAを鑑別するために、いくつかの重要なポイントに着目します。
問診と視診の重要性
- 問診: 脱毛の始まり方、進行速度、家族歴、生活習慣、使用しているヘアケア製品などを詳しく伺います。脂漏性脱毛症の場合、かゆみやフケ、頭皮のベタつきがいつ頃から始まったか、AGAの場合は、生え際や頭頂部の薄毛がいつ頃から気になり始めたかなどが重要な情報となります。
- 視診: 頭皮全体の赤み、炎症、フケの質(乾燥しているか、湿っているか)、皮脂の量などを確認します。AGAでは、生え際や頭頂部の毛髪が細く、短くなっている「軟毛化」の進行度合いを評価します。
特に、生え際や側頭部の脱毛パターンは、非瘢痕性脱毛症(AGAなど)と瘢痕性脱毛症(炎症を伴う脱毛症)の鑑別に役立つことがあります[2]。
ダーモスコピー(拡大鏡)を用いた毛髪診断
ダーモスコピーは、頭皮や毛髪を拡大して観察する診断ツールです。肉眼では見えにくい微細な変化を捉えることができます[1]。
- 脂漏性脱毛症の場合: 頭皮の赤み、炎症、毛包周囲のフケ(ペリピラーキャスト)などが観察されることがあります。
- AGAの場合: 毛髪の太さの不均一性(ヘアシャフトの多様性)、毛穴の数の減少、小さな軟毛(ミニチュアライズドヘア)の増加などが特徴的です。
このダーモスコピーによる詳細な観察は、正確な診断に不可欠です。当院のオンライン診療では、患者さまに鮮明な頭皮写真を提供いただくことで、対面診療に近いレベルでの視診を可能にしています。
それぞれの脱毛症に対する適切な治療法
脂漏性脱毛症とAGAは原因が異なるため、治療法も異なります。正確な診断に基づいて、適切な治療を選択することが重要です。
脂漏性脱毛症の治療法
脂漏性脱毛症の治療は、主に頭皮の炎症を抑え、皮脂の分泌をコントロールし、マラセチア菌の増殖を抑制することに重点が置かれます。
- 薬用シャンプー: 抗真菌成分(ケトコナゾールなど)や抗炎症成分が配合されたシャンプーを使用し、頭皮環境を改善します。
- 外用薬: 炎症が強い場合には、ステロイド外用薬や抗真菌薬が処方されることがあります。
- 生活習慣の改善: バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレス管理なども皮脂分泌の抑制に役立ちます。
治療を始めて数週間で「かゆみが落ち着き、フケが減った」と感じる患者さまが多くいらっしゃいます。頭皮環境が改善することで、抜け毛の減少も期待できます。
AGAの治療法
AGAの治療は、DHTの生成を抑制し、毛髪の成長期を延長することに焦点を当てます。
- 内服薬:
- 外用薬:
- ミノキシジル外用薬: 頭皮に直接塗布することで、毛母細胞を活性化し、発毛を促進します。
AGA治療は継続が重要であり、効果を実感するまでに数ヶ月を要することが一般的です。治療後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、患者さまが治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。当院では、自宅で治療を続けられる患者さまからは、「通院の手間がなく、プライバシーが守られるのが便利」という声をいただいています。
女性の脱毛症は男性とは異なる特徴を持つことがあり、AGAと似た症状を示す場合でも、女性型脱毛症(FAGA)や他の脱毛症である可能性があります[3]。女性の場合も、専門医による正確な診断が不可欠です。
オンライン診療の活用:利便性とプライバシー

オンライン診療は、忙しい方や遠方にお住まいの方にとって、専門的な医療サービスを手軽に受けられる便利な選択肢です。
オンライン診療のメリットとは?
- 時間と場所の制約がない: 自宅や職場など、どこからでも診察を受けられます。通院時間や待ち時間の削減につながります。
- プライバシーの確保: 脱毛の悩みはデリケートな問題であり、クリニックへの通院に抵抗を感じる方も少なくありません。オンライン診療なら、他人の目を気にすることなく、安心して相談できます。
- 定期的な治療の継続: 継続的な治療が必要な脱毛症において、オンライン診療は治療中断のリスクを減らし、効果的な治療継続をサポートします。
当院のオンライン診療では、「クリニックまで遠くて通いづらい」「仕事が忙しくて診療時間内に間に合わない」といった患者さまから特にご好評をいただいています。
オンライン診療の流れと処方・配送について
当院のオンライン診療は、以下の簡単なステップでご利用いただけます。
- 予約: ウェブサイトからご希望の日時を選択し、予約を行います。
- 診察: 予約時間になったら、スマートフォンやPCを通して医師とビデオ通話で診察を行います。症状や頭皮の状態について詳しく伺い、必要に応じて写真での視診も行います。
- 処方: 医師が診断に基づき、適切な治療薬を処方します。
- 配送: 処方された薬は、ご自宅に直接配送されます。プライバシーに配慮した梱包でお届けします。
料金プランは、患者さまの症状や治療内容に応じて複数ご用意しており、定期配送オプションも選択可能です。これにより、薬の買い忘れを防ぎ、治療をスムーズに継続いただけます。
対面診療とオンライン診療の使い分け
オンライン診療は非常に便利ですが、対面診療が適しているケースもあります。それぞれのメリットを理解し、適切に使い分けることが大切です。
オンライン診療が向いているケース
- 診断が比較的明確な場合: AGAのように典型的な症状を示す場合や、脂漏性脱毛症で症状が安定している場合。
- 継続的な治療が必要な場合: 定期的な薬の処方や経過観察。
- 通院が困難な場合: 遠方にお住まいの方、忙しくて時間が取れない方、交通手段が限られている方。
- プライバシーを重視したい場合: 脱毛の悩みを他人に知られたくない方。
対面診療が推奨されるケース
- 症状が複雑で鑑別が難しい場合: 複数の脱毛症が疑われる、または他の皮膚疾患との鑑別が必要な場合。
- 頭皮の状態が重度の場合: 強い炎症、びらん、ただれなど、詳細な触診や検査が必要な場合。
- 検査が必要な場合: 血液検査や組織検査など、対面での実施が必須な検査が必要な場合。
- 治療効果が思わしくない場合: オンライン診療での治療を続けても改善が見られない場合、より詳細な評価が必要です。
当院では、オンライン診療で診断が難しいと判断した場合や、より詳細な検査が必要な場合には、対面診療への移行をご提案することもあります。患者さまにとって最適な治療を提供できるよう、柔軟に対応しています。
まとめ
脂漏性脱毛症とAGAは、それぞれ異なる原因と症状を持つ脱毛症です。脂漏性脱毛症は頭皮の皮脂過剰と炎症が主な原因で、フケやかゆみを伴うことが多い一方、AGAは男性ホルモンと遺伝が関与し、特定のパターンで薄毛が進行します。自己判断は難しく、適切な治療のためには専門医による正確な鑑別診断が不可欠です。オンライン診療は、利便性とプライバシーの面で大きなメリットがあり、多くの患者さまにとって有効な選択肢となります。ご自身の症状に合わせた適切な診断と治療を受けるために、まずは専門医にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
- Mariya Miteva, Antonella Tosti. Hair and scalp dermatoscopy.. Journal of the American Academy of Dermatology. 2013. PMID: 22405573. DOI: 10.1016/j.jaad.2012.02.013
- Brianna De Souza, Andrea Tovar-Garza, Laura N Uwakwe et al.. Bitemporal Scalp Hair Loss: Differential Diagnosis of Nonscarring and Scarring Conditions.. The Journal of clinical and aesthetic dermatology. 2021. PMID: 34221224
- Jodie Raffi, Raagini Suresh, Oma Agbai. Clinical recognition and management of alopecia in women of color.. International journal of women’s dermatology. 2020. PMID: 31909150. DOI: 10.1016/j.ijwd.2019.08.005
- Ajeeth Rajkumar, Krishnakanth Muralidhar, Sai Preethi P et al.. Bad Hair Days: A Clinical and Trichoscopic Evaluation of Scalp Lesions.. Cureus. 2025. PMID: 40612850. DOI: 10.7759/cureus.85265
- プロペシア(フィナステリド)添付文書(JAPIC)
- ザガーロ(デュタステリド)添付文書(JAPIC)
- ケトコナゾール(ケトコナゾール)添付文書(JAPIC)