レビトラとは
レビトラは、バルデナフィルを有効成分とするED(勃起不全)治療薬で、バイエル薬品によって開発されました。レビトラもPDE5阻害薬に分類され、2003年に世界で初めて承認されました。日本では2004年に勃起不全の治療薬として承認され、現在に至っています。レビトラは、食事の影響を受けにくく、効果発現が速いことが特徴で、性行為前に服用することで勃起を補助します。
レビトラの生産停止について
ドイツの工場での安定的な生産と供給が出来ないという理由で、2021年10月にバイエル社がレビトラ錠の販売中止を発表しました。そのため、現在国内では先発品の正規レビトラ錠を販売しているクリニックはなく、全てジェネリック(後発品)による販売となっています。当院では現在、国内レビトラジェネリックを採用していて海外製は取り扱っておりません。当院でもジェネリック品のバルデナフィルを処方しております。
レビトラの効果
レビトラは陰茎海綿体に存在するPDE5(ホスホジエステラーゼ5)を選択的に阻害し、cGMP(サイクリックグアノシン一リン酸)を増加させます。これにより、性的刺激を受けた際に血管が拡張され、陰茎への血流が促進されて勃起が維持されやすくなります。他のED治療薬と同様に、レビトラは性的刺激がないと効果を発揮しませんので、催淫剤とは異なります。バイアグラの改良版のような薬として広く使用されています。
効果を得られるまでの時間
レビトラは、他のED治療薬と比較しても効果の発現が速く、服用後約30分で効果が現れ始めます。このため、性行為の直前に服用することが可能です。また、レビトラは食事の影響を受けにくいため、食後の服用でも安定した効果が期待できます。
効果が持続する時間
レビトラの効果持続時間は、個人差があるものの約4〜5時間程度とされています。この持続時間はバイアグラとほぼ同等ですが、レビトラは服用後にすぐに効果が現れ、安定した勃起力を提供するため、患者にとって使いやすい薬剤となっています。
レビトラの他のED治療薬との比較
レビトラは、他のED治療薬であるバイアグラ(シルデナフィル)やシアリス(タダラフィル)と比較されることが多いです。レビトラの特徴は、食事の影響を受けにくく、効果の発現が比較的早いことです。以下に簡単な比較表を示します。
治療薬名 | 有効成分 | 効果発現までの時間 | 効果持続時間 | 食事の影響 |
---|---|---|---|---|
レビトラ | バルデナフィル | 約30分 | 4〜5時間 | 受けにくい |
バイアグラ | シルデナフィル | 約1時間 | 4〜5時間 | 受けやすい |
シアリス | タダラフィル | 約1〜2時間 | 24〜36時間 | ほとんど受けない |
レビトラは、食事のタイミングを気にせず使用できるため、性行為のタイミングを柔軟に調整できるという利点があります。
レビトラの用法用量
レビトラの通常の推奨用量は、バルデナフィルとして10mgを性行為の約1時間前に服用します。症状や効果に応じて、5mgまたは20mgに調整することが可能です。肝障害や重度の腎障害がある患者、高齢者(65歳以上)には5mgから開始することが推奨されています。レビトラは1日1回のみの投与が推奨され、次の投与まで少なくとも24時間の間隔をあける必要があります。
レビトラ服用時の注意点
レビトラは食事の影響を受けにくい薬ですが、特に高脂肪の食事を避けることが推奨されています。また、グレープフルーツジュースは体内酵素の働きを阻害し、レビトラの血中濃度を上昇させる可能性があるため、併用は避けるべきです。アルコールの摂取もレビトラの効果に影響を与える可能性があるため、適量を守ることが望ましいです。
レビトラの副作用
レビトラの副作用としては、ほてり、頭痛、鼻づまり、消化不良、めまいなどが挙げられます。これらの副作用は通常、軽度であり、短時間で消失することが多いですが、持続する場合や重篤な症状が現れた場合には、すぐに医師の診察を受けるべきです。
レビトラを服用できない方
レビトラは以下の患者には使用できません:
- 硝酸剤または一酸化窒素供与剤を使用中の患者
- 心血管系疾患を有し、性行為がリスクとなる患者
- 重度の肝機能障害や低血圧の患者
- 最近6ヶ月以内に脳梗塞、脳出血、または心筋梗塞を発症した患者
- 網膜色素変性症の患者
レビトラの慎重投与が必要な方
- 持続勃起症の素因がある患者
- 重度の腎機能障害の患者
- PDE5阻害薬を既に服用している患者
- 血液の流れに影響を与える疾患や出血性疾患を持つ患者
レビトラと併用禁忌の薬
- 硝酸剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル等)
- アミオダロン塩酸塩
- sGC刺激剤(リオシグアト)
レビトラの注意事項
レビトラの服用後に4時間以上の持続勃起や視覚障害が発生した場合は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。また、心血管系の健康状態が良好であることを確認した上で使用することが推奨されています。
当院では、患者様一人ひとりの症状や希望に応じて、レビトラをはじめとしたED治療薬を適切に処方しています。安全かつ効果的にEDを改善するために、医師の指導のもとで治療を進めてください。
レビトラのジェネリック医薬品について
レビトラの特許は近年満了し、ジェネリック医薬品も市場に登場しています。ジェネリック医薬品は、バルデナフィルと同じ有効成分を含み、安価で同様の効果を提供します。多くの製薬会社がレビトラのジェネリックを製造しており、患者がコストを抑えて治療を続けられる選択肢が広がっています。当院でも、患者さまの金銭的な負担を最小限にするため、レビトラのジェネリック品であるバルデナフィルを処方しております。
レビトラの長期使用に関する情報
レビトラの長期使用についての研究では、薬剤に対する耐性が形成されることは少ないと報告されています。長期間にわたって使用することで、安定した効果が期待でき、EDに悩む多くの患者にとって安心して継続できる治療法となります。しかし、長期使用に際しては、定期的な医師の診察を受け、適切な使用を心がけることが重要です。
参考文献
- 日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版」」
- Boolell, M., Gepi-Attee, S., Gingell, J. C., & Allen, M. J. (1996). Sildenafil: An orally active type 5 cyclic GMP-specific phosphodiesterase inhibitor for the treatment of penile erectile dysfunction. International Journal of Impotence Research, 8(2), 47-52.
- Goldstein, I., Lue, T. F., Padma-Nathan, H., Rosen, R. C., Steers, W. D., & Wicker, P. A. (2003). Oral sildenafil in the treatment of erectile dysfunction. The New England Journal of Medicine, 338(20), 1397-1404.
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