シルデナフィルとは
シルデナフィルは、バイアグラのジェネリック医薬品として、多くの国でED(勃起不全)治療薬として広く使用されています。シルデナフィルは、1990年代に開発されたPDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬であり、ED治療において非常に効果的です。バイアグラと同じ有効成分であるシルデナフィルは、勃起不全の治療に優れた効果を持ちながら、ジェネリック医薬品であるため、経済的に入手しやすい点が特徴です。経済的負担を抑えつつ、高い治療効果を期待できるため、長期間の治療を必要とする患者にとって重要な選択肢となります。
当院でも患者さまの負担を少なくするために、シルデナフィルを取り扱っております。
バイアグラについて詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
シルデナフィルの作用機序
シルデナフィルは、PDE5という酵素を阻害することで、陰茎海綿体内でcGMP(サイクリックグアノシン一リン酸)の分解を防ぎます。cGMPは、血管を拡張させ、血流を促進する重要な役割を持ちます。性的刺激を受けると、一酸化窒素(NO)が放出され、それがcGMPの生成を促しますが、PDE5によってcGMPが分解されると勃起が維持できなくなります。シルデナフィルはこの分解を抑制し、勃起の維持をサポートするのです。
ただし、シルデナフィル自体には性的興奮を引き起こす作用はなく、性的刺激がある状況下で初めてその効果が発揮されます。したがって、性的興奮や刺激がない状態では、シルデナフィルを服用しても勃起は生じません。
効果発現までの時間と持続時間
シルデナフィルは、通常、服用後30分から1時間で効果が現れます。効果の持続時間は、個人差があるものの約4〜5時間とされています。この効果の持続時間は、他のED治療薬(レビトラやシアリス)と比較すると中間程度であり、短時間での使用には適しています。性行為の前に適切なタイミングで服用することで、自然な勃起をサポートします。
シルデナフィルの用法用量
シルデナフィルは、通常、1日1回、25mg〜50mgを性行為の約1時間前に服用します。効果や副作用の強さに応じて、患者の状態に応じて用量を調整することができますが、1日の投与回数は1回までに制限され、投与間隔は24時間以上空ける必要があります。初めて使用する場合や高齢者、肝機能や腎機能に問題がある患者には、25mgの低用量から開始することが推奨されます。
シルデナフィルの服用時には、特に空腹時が推奨されており、脂肪分が多い食事やグレープフルーツジュースの摂取は、薬の吸収を遅らせたり、効果を減少させる可能性があるため、避けるべきです。
シルデナフィルの服用時の注意点
食事との関係
シルデナフィルは食事の影響を受けやすいため、食後すぐに服用すると効果が遅れる可能性があります。特に高脂肪食は有効成分の吸収を遅らせ、効果を減弱させるため、空腹時や軽い食事の後に服用することが理想的です。
アルコールとの関係
適度な量のアルコールは問題ありませんが、過度の飲酒はシルデナフィルの効果を低下させるだけでなく、血圧の低下や頭痛などの副作用が増加する可能性があります。服用前後のアルコール摂取は、適量を守ることが推奨されます。
副作用
シルデナフィルの副作用には、ほてり、頭痛、鼻づまり、消化不良、めまいなどが報告されています。これらの副作用は通常、軽度であり、一時的なものであることが多いです。ただし、症状が長引いたり、重篤な副作用が発生した場合は、速やかに医師に相談することが必要です。
シルデナフィルを服用できない方
シルデナフィルは、多くの患者にとって安全で効果的な治療薬ですが、以下の条件に該当する方は服用できません。
- 硝酸剤または一酸化窒素供与剤を使用中の患者
- 心血管系疾患を有し、性行為がリスクとなる方
- 重度の肝機能障害や低血圧の方
- 最近6ヶ月以内に脳梗塞、心筋梗塞を発症した方
- 網膜色素変性症の患者
慎重投与が必要な方
持続勃起症の素因を持つ患者や、重度の腎機能障害のある患者には、慎重に投与する必要があります。また、PDE5阻害薬を既に服用している患者や、出血性疾患のある患者にも注意が必要です。医師と相談の上、適切な用量を選ぶことが重要です。
シルデナフィルと他のED治療薬との比較
シルデナフィルはレビトラ(バルデナフィル)やシアリス(タダラフィル)と並ぶED治療薬で、それぞれの特徴を理解した上で選択することが重要です。
治療薬名 | 有効成分 | 効果発現までの時間 | 効果持続時間 | 食事の影響 |
---|---|---|---|---|
シルデナフィル | シルデナフィル | 約1時間 | 4〜5時間 | 受けやすい |
レビトラ | バルデナフィル | 約30分 | 4〜5時間 | 受けにくい |
シアリス | タダラフィル | 約1〜2時間 | 24〜36時間 | ほとんど受けない |
シルデナフィルの最新研究と安全性
シルデナフィルに関する臨床研究では、ED治療薬としての安全性と有効性が改めて確認されています。最新の研究では、シルデナフィルがED治療に加えて、他の血管疾患に対しても効果がある可能性が指摘されています。長期的な使用においても、適切な用法用量を守ることで、安全に使用できることが示されています。
参考文献
- 日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版」」
- シルデナフィル錠25/50mg VI「DK」添付文書
- ヴィアトリス製薬株式会社 医薬品インタビューフォーム「バイアグラ錠25mg・50mg」
- Kloner, R. A., & Zusman, R. M. (2017). Cardiovascular effects of sildenafil and recommendations for its use. American Journal of Cardiology, 120(8), 1291-1300.
- Goldstein, I., Lue, T. F., Padma-Nathan, H., Rosen, R. C., Steers, W. D., & Wicker, P. A. (1998). Oral sildenafil in the treatment of erectile dysfunction. The New England Journal of Medicine, 338(20), 1397-1404.
- Boolell, M., Gepi-Attee, S., Gingell, J. C., & Allen, M. J. (1996). Sildenafil: An orally active type 5 cyclic GMP-specific phosphodiesterase inhibitor for the treatment of penile erectile dysfunction. International Journal of Impotence Research, 8(2), 47-52.